ある病院総合診療医の備忘録

関東在住の総合診療医・老年病専門医です。日々の学びの書き留め用に。 Twitterもはじめました。 @GHhrdtk

疾患系

【JC】せん妄評価ツールとしての3D-CAMに関して

4-ATついでに以前から興味があった3D-CAMに関しても調べてみたところ...CAM-ICU vs 3D-CAMの研究や日本語版があることなど色々勉強になりました ①3D-CAM: derivation and validation of a 3-minute diagnostic interview for CAM-defined delirium: a cross-…

【JC】せん妄スクリーニングツールとしての4-AT

チームで低活動型せん妄に関してディスカッションになったついでに調べてみました② 4-ATに関して+低活動型せん妄に関しての前置き(長文)になります😊 低活動型せん妄に関しての前置きです □低活動性せん妄に関して(BMJ. 2017 May 25;357:j2047)(完全に抜粋です…

【JC】低活動型せん妄に対するアリピプラゾール

チームで低活動型せん妄に関してディスカッションになったついでに調べてみました(今回はアリピプラゾールに関して) ①An open trial of aripiprazole for the treatment of delirium in hospitalized cancer patientsPalliat Support Care. 2011 Dec;9(4):35…

【JC】副腎不全の診断エラーの報告

調べる機会があったので副腎不全の診断エラー関連まとめてみましたrandom コルチゾールのオーダーの閾値の設定などこのへんは色々と難しいと日々感じます。。。 Primary adrenal insufficiency in the United States: diagnostic error and patient satisfac…

【備忘録:小児頭部外傷】 BEYOND the PECARN rule

現在勤務している病院では2015年に救急外来で小児頭部外傷に関しての診療マニュアルを作って運用をしていました。そして昨日行った小児科の先生との合同勉強会にあわせて、最近の流れはどんな進化しているのか調べてまとめてみました □PECARNルールに関して(…

【EMJ 掲載】尿膜管遺残膿瘍のClinical picture

研修医の長先生とみた尿膜管遺残膿瘍の症例をEmerg Med Jに掲載いただきましたhttps://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/35321922/https://emj.bmj.com/content/39/4/278腹痛+臍からの排膿という特異的な症状で受診されたのでSnap診断にいたった症例ですとはいえ、臍…

【備忘録】Renal or Muscle? CKD+サルコペニアの高齢者の蛋白/栄養は?

【備忘録】Renal or Muscle? CKD+サルコペニア の高齢者の蛋白/栄養は? 獨協で毎月行わせていただいている老年内科/高齢者医療のときに栄養や蛋白の目標量に関して質問をいただいた質問をきっかけに調べなおしてみました 前からちょっと興味があることでも…

【高齢者の貧血のTIPS】

□高齢者の貧血に関してのTIPS/備忘録 まだ備忘録段階なのですがざっとわかっていることをまとめてみました。疫学,予後の関連,診断,UAAの定義...いろいろ勉強になりました。 貧血が機能や予後に関連している...というのはそりゃそうだと思う反面,いままで抜け…

【JC】白内障患者への手術介入は認知症リスク低下と関連

Association Between Cataract Extraction and Development of DementiaJAMA Intern Med. 2022 Feb 1;182(2):134-141. 認知症のリスク 12個(教育不足,高血圧,聴覚障害,喫煙、肥満,うつ病,運動不足,糖尿病,社会的接触の少なさ,過度のアルコール消費,外傷性脳…

下部消化管穿孔の診断エラーの頻度と関連因子は?(Sci Rep. 2022 Jan 19;12(1):1028.)

すこし前ですが、良質な診断WG(旧:診断エラーWG)で行った下部消化管穿孔を対象とした多施設後ろ向き観察研究の研究がScientific Reportで公開されました Diagnostic error rates and associated factors for lower gastrointestinal perforationSci Rep. 202…

【ケース】若年のFitz-hugh-curtis症候群疑いに造影CTは必須か?

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/34938563/https://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1002/ccr3.5211 Fitz-Hugh-Curtis syndrome without salpingitis: Should contrast-enhanced computed tomography be a routine diagnostic procedure?Clin Case Rep. 202…

【JC】薬剤性高血圧の頻度とその影響(JAMA Intern Med. 2022 Jan 1;182(1):90-93.)

高血圧の要素でいままでNSAIDsやステロイド以外の薬剤を考えたことがなかったので...これは学びになりました。 Prevalence of Medications That May Raise Blood Pressure Among Adults With Hypertension in the United StatesJAMA Intern Med. 2022 Jan 1;…

【JC】終末期の死前喘鳴予防にブチルスコポラミン皮下注は有効(JAMA. 2021 Oct 5;326(13):1268-1276.)

話題になっていた論文ではありますが...UpToDateの「What's new in geriatrics」より抜粋⑤終末期のDeath rattle,いわゆる死前喘鳴,のどのゴロゴロに対してブチルスポコラミン 20mgを1日4回CSの有用性を示したRCT Effect of Prophylactic Subcutaneous Scopol…

【JC】RLSの治療でCaチャネルのα2δリガンド薬(プレガバリン,ガバペンチン)が第一選択で推奨(Mayo Clin Proc. 2021;96(7):1921-1937)

UpToDateの「What's new in geriatrics」より抜粋④ ここ数年での知見を踏まえたRLSの新しい推奨(Mayo Clin Proc. 2021;96(7):1921-1937) 薬剤使用に伴う問題からドパミン受容体作用薬よりプレガバリン,ガバペンチンの推奨があがっています①週2日以上のRLSに…

【JC】パーキンソン病や関連疾患の緩和ケアコンサルト基準(J Neurol Neurosurg Psychiatry. 2021 Mar 31;92(6):629-636.)

UpToDateの「What's new in geriatrics」より抜粋③ パーキンソン病および関連疾患は神経変性疾患の中で2番目に多にも関わらずあまり緩和ケアが行われていない...という背景からパーキンソン病(PD)および関連疾患の緩和ケア/ホスピス紹介基準が提唱されました…

【JC】白内障の手術適応の紹介は迅速に(Anesth Analg. 2021 Dec 1;133(6):1431-1436)

2022年ということでUpToDateの「What's new in geriatrics」より抜粋① 高齢者医療としては ・白内障への介入は股関節骨折や転倒介入に関して一定のエビデンスがありCGAでの評価対象の1つ ・白内障の手術ができない全身状態、というのは極めて稀 ・手術適応の…

【JC】凝固異常があっても胸腔穿刺は安全にできるか?(Chest. 2021 Nov;160(5):1875-1889.)

薬剤ふくめ凝固異常がある状況での胸腔穿刺や胸腔ドレーン留置は可能というレビュー Safety of Thoracentesis and Tube Thoracostomy in Patients With Uncorrected Coagulopathy: A Systematic Review and Meta-analysisChest. 2021 Nov;160(5):1875-1889.…

【JC】高齢者はBPPVに対する耳石置換法は成功しにくいか?(J Am Geriatr Soc. 2021 Oct 26. doi: 10.1111/jgs.17485)

Effect of age on treatment outcomes in benign paroxysmal positional vertigo: A systematic reviewJ Am Geriatr Soc. 2021 Oct 26. doi: 10.1111/jgs.17485BPPVは高齢者の転倒リスクを高める可能性があるBPPVの治療のための耳石置換法の有効性に対する年…

【JC】骨粗鬆症性骨折に対する二次予防介入の有用性(J Am Geriatr Soc. 2021 Dec;69(12):3435-3444)

Cost-effectiveness of secondary fracture prevention intervention for Medicare beneficiariesJ Am Geriatr Soc. 2021 Dec;69(12):3435-3444Key Points 骨粗鬆症性骨折後の二次骨折予防介入は,メディケア受給者にとってコスト削減になる可能性が高く,結…

【JC】サイアザイド系利尿剤の副作用(Am J Med. 2021 Sep;134(9):1148-1154)

Am J Med よりサイアザイド系利尿薬の副作用に関する報告(Am J Med. 2021 Sep;134(9):1148-1154) HCTZは個人的には12.5mgで使うイメージでいますRisk of Electrolyte Disorders, Syncope, and Falls in Patients Taking Thiazide Diuretics: Results of a Cr…

【JC】高K血症の治療薬 ケイキサレートは腸管壊死のリスクか?(J Hosp Med. 2021 Aug;16(8):489-494.)

Risk of Intestinal Necrosis With Sodium Polystyrene Sulfonate: A Systematic Review and Meta-analysisJ Hosp Med. 2021 Aug;16(8):489-494. 高K血症に使う薬の1つ,Sodium Polystyrene Sulfonate(SPS)/ポリスチレンスルホン酸ナトリウム(商品名:ケイキサ…

【JC】H.pylori血清検査の意義は?(J Hosp Med. 2021 Jul 21. doi: 10.12788/jhm.3638.)

JHMの「Things We Do for No Reason™」(TWDNR)シリーズよりH.pyloriの血清検査の意義は? の抜粋です ・内視鏡検査の適応がある人は生検で診断を・内視鏡検査の適応がない人では便中抗原か尿素呼気試験を(血清検査は使用しない)・便中抗原か尿素呼気試験を…

【JC】転倒予防介入のメタアナリシス(J Am Geriatr Soc. 2021 Oct;69(10):2973-2984)

JAGSより転倒予防介入のメタアナリシス(J Am Geriatr Soc. 2021 Oct;69(10):2973-2984) 運動+αが有用という結論 Interventions for preventing falls and fall-related fractures in community-dwelling older adults: A systematic review and network meta…

【JC】皮下注による水分補充の安全性(Age Ageing. 2021 Oct 13. pii: 6394989.)

入院設定での非劣性研究という設定ですが,皮下注/CSはもっといろいろな設定でつかってよいと個人的には思っていますAdverse effects of subcutaneous vs intravenous hydration in older adults: An assessor-blinded randomised controlled trial (RCT).Age…

【JC】施設の食事介入で高齢者の骨折,転倒のリスク減少(BMJ. 2021 Oct 20;375:n2364.)

前提の「VitDが充足している」の詳細がみつけられなかったのですが...栄養介入(乳製品を中心としたCaと1g/kg/d目標の蛋白補充強化)のみで骨折や転倒が減る,しかも女性も男性も!!ということで個人的にはすごい研究かなと・高齢者の骨折リスクをへらすための栄…

【JC】せん妄を呈した高齢者にルーチンで尿検査を行うか?(J Hosp Med. 2021 Jul 26. doi: 10.12788/jhm.3620.)

JHMの「Things We Do for No Reason™」(TWDNR)シリーズよりせん妄を呈した高齢者にルーチンで尿検査を行うか? の抜粋です CommonDzのプラクティスやその背景をしっかり見直すよい機会で勉強になりました Things We Do for No Reason™: Obtaining Urine Tes…

【JC】入院患者の発熱に関して(J Gen Intern Med. 2006 Nov;21(11):1184-7.)

個人的には入院中の発熱は結構興味深いテーマなんですが、なかなか研究が進んでいない領域っぽい感じもありそうです。施設要素や患者要素による影響が大きいことや、発熱、だけでなく、その他のバイタルや症状によっても対応がかわるので研究とすると難しい…

Medicina 2021年11月号で執筆の機会をいただきました

Medicina 2021年11月号 外来で役立つAha!クエスチョンでConvulsive syncope(失神性痙攣)をメインに病歴聴取に関して執筆させていただきました!!https://www.igaku-shoin.co.jp/journal/detail/39317https://www.amazon.co.jp/dp/B09JBKMR1B/ 病歴聴取の精度…

【JC】Visual snow syndrome

Visual snow syndrome 頭痛専門医の先生に教えてもらって初めて知りました 片頭痛合併例が多いようです。症状が特徴的なので知ってさえいれば反応できそう!?な疾患だと思いました Visual snow syndrome: A clinical and phenotypical description of 1,100 c…

備忘録:高齢者における脂質異常症の治療

毎月獨協でさせていただいている老年内科Lecture 今回は脂質異常症をテーマにさせていただきました 日本と海外のガイドラインの比較,6%ルール,有害事象,ノセボなどの確認と 75歳異常,フレイルや終末期の状況でのスタチン継続の是非...etc 話させていただきま…