ある病院総合診療医の備忘録

関東在住の総合診療医・老年病専門医です。日々の学びの書き留め用に。 Twitterもはじめました。 @GHhrdtk

診断関連

下部消化管穿孔の診断エラーの頻度と関連因子は?(Sci Rep. 2022 Jan 19;12(1):1028.)

すこし前ですが、良質な診断WG(旧:診断エラーWG)で行った下部消化管穿孔を対象とした多施設後ろ向き観察研究の研究がScientific Reportで公開されました Diagnostic error rates and associated factors for lower gastrointestinal perforationSci Rep. 202…

【ケース】若年のFitz-hugh-curtis症候群疑いに造影CTは必須か?

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/34938563/https://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1002/ccr3.5211 Fitz-Hugh-Curtis syndrome without salpingitis: Should contrast-enhanced computed tomography be a routine diagnostic procedure?Clin Case Rep. 202…

【EJCRIM Case アクセプト】尿中肺炎球菌抗原偽陽性のケース

発熱+肺にGGO+肺炎球菌尿中抗原陽性(+肝障害)という症例で...最終診断が肝膿瘍+Strep sppによる尿中抗原の偽陽性という症例、EJCRIMに一発アクセプトいただきました 迅速に原稿を仕上げてくださった納冨先生,御指導いただいた和足先生,弘重先生,志水先生あり…

【Clinical Picture】舌咬傷のイメージがClinical Case Reportに掲載されました

【Clinical Image掲載】 Lateral tongue bite in patient with transient loss of consciousness https://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1002/ccr3.5264一過性意識消失でみられる舌側面の咬傷は頻度は少ないですがてんかんに特異的で診断的価値が大きい所…

【JC】RLSの治療でCaチャネルのα2δリガンド薬(プレガバリン,ガバペンチン)が第一選択で推奨(Mayo Clin Proc. 2021;96(7):1921-1937)

UpToDateの「What's new in geriatrics」より抜粋④ ここ数年での知見を踏まえたRLSの新しい推奨(Mayo Clin Proc. 2021;96(7):1921-1937) 薬剤使用に伴う問題からドパミン受容体作用薬よりプレガバリン,ガバペンチンの推奨があがっています①週2日以上のRLSに…

【JC】アルコール使用障害患者,退院時のビタミン処方に関して(J Hosp Med. 2021 Dec;16(12):751-753)

いよいよ今日から『岸辺露伴は動かない』3夜連続で放送開始ィィイ! 初日は“ザ・ラン”っ!! JCは今月のJHMのTWNDRより・退院処方に何も考えずにビタミン剤入れないでね・そもそもアルコール使用障害の評価と治療を検討しようね・食事に関する不安があれば適切…

【JC】凝固異常があっても胸腔穿刺は安全にできるか?(Chest. 2021 Nov;160(5):1875-1889.)

薬剤ふくめ凝固異常がある状況での胸腔穿刺や胸腔ドレーン留置は可能というレビュー Safety of Thoracentesis and Tube Thoracostomy in Patients With Uncorrected Coagulopathy: A Systematic Review and Meta-analysisChest. 2021 Nov;160(5):1875-1889.…

【JC】高齢者はBPPVに対する耳石置換法は成功しにくいか?(J Am Geriatr Soc. 2021 Oct 26. doi: 10.1111/jgs.17485)

Effect of age on treatment outcomes in benign paroxysmal positional vertigo: A systematic reviewJ Am Geriatr Soc. 2021 Oct 26. doi: 10.1111/jgs.17485BPPVは高齢者の転倒リスクを高める可能性があるBPPVの治療のための耳石置換法の有効性に対する年…

急性心不全治療下での「水分制限」のエビデンスは!?(J Hosp Med. 2021 Dec;16(12):754-756.)

JHMのTWNDRより、EF低下した心不全患者が急性非代償性心不全で入院するとき、水分制限、の意味はあるのか? 恥ずかしながらこれ全然知らなかったので勉強になりました。。。 ※TWNDRは明確な結論や臨床実践の基準を示すものではありません。興味ある人は是非…

患者さん視点のDiagnostic Excellence(JAMA. 2021 Nov 18)

患者さん視点のDiagnostic Excellence(JAMA. 2021 Nov 18) JAMAで進行中のDiagnostic Excellence、患者さん視点での...ということで5つのポイントが紹介されました。 いろいろと身につまされる内容でした。。以降がんばります!! Diagnostic Excellence Throu…

【JC】H.pylori血清検査の意義は?(J Hosp Med. 2021 Jul 21. doi: 10.12788/jhm.3638.)

JHMの「Things We Do for No Reason™」(TWDNR)シリーズよりH.pyloriの血清検査の意義は? の抜粋です ・内視鏡検査の適応がある人は生検で診断を・内視鏡検査の適応がない人では便中抗原か尿素呼気試験を(血清検査は使用しない)・便中抗原か尿素呼気試験を…

【JC】入院中の血圧高値に関して②(Curr Cardiol Rep. 2015 Nov;17(11):94)

入院中に生じた血圧高値に対して,(アムロジピンなど)半減期が長い薬の効果判定はゆっくりやらないと過剰投薬/降圧のリスクがあること,入院中に無理に薬剤介入しないまでも生活や食事のお話をして退院時にプライマリ・ケア医につなげること,を意識しておくは…

【JC】Diagnostic Excellence とは

タイトル的に...読まずにはいられないっ!!(JOJO1部風)ということでJAMA view point より"Diagnostic Excellence"良質な診断/優れた診断の6要素(安全,効果的,患者中心性,適時性,効率性,公平性)の紹介と,それぞれをうまくバランス良くやっていくのが大事だよね…

【JC】Diagnosis and the Illness Experience (JAMA. Published online October 28, 2021.)

診断はゴールではないよね?というJAMAのViewpoint病いの経験の理解の理解も踏まえた患者中心であり,わからないという状態を受け入れる余地があり,多元的でアートなものであるべきという深い内容でした。特にDiagnostic uncetainlyとかそのへんは色々個人的…

【JC】入院患者の発熱に関して(J Gen Intern Med. 2006 Nov;21(11):1184-7.)

個人的には入院中の発熱は結構興味深いテーマなんですが、なかなか研究が進んでいない領域っぽい感じもありそうです。施設要素や患者要素による影響が大きいことや、発熱、だけでなく、その他のバイタルや症状によっても対応がかわるので研究とすると難しい…

Medicina 2021年11月号で執筆の機会をいただきました

Medicina 2021年11月号 外来で役立つAha!クエスチョンでConvulsive syncope(失神性痙攣)をメインに病歴聴取に関して執筆させていただきました!!https://www.igaku-shoin.co.jp/journal/detail/39317https://www.amazon.co.jp/dp/B09JBKMR1B/ 病歴聴取の精度…

【JC】低用量アスピリンの一次予防のエビデンス

DraftですがUSPSTFの低用量アスピリンに関しての勧告が発表されました 引き続き一次予防に使うことはあまりない、という方向でよさそうです。 (日本の研究でもその方向性かなと思っています) https://www.uspreventiveservicestaskforce.org/uspstf/draft-re…

【JC】Visual snow syndrome

Visual snow syndrome 頭痛専門医の先生に教えてもらって初めて知りました 片頭痛合併例が多いようです。症状が特徴的なので知ってさえいれば反応できそう!?な疾患だと思いました Visual snow syndrome: A clinical and phenotypical description of 1,100 c…

【JC】WBC>15000+下痢なし、でCDI検索はするべきか(PMID:33564820)

入院患者さんでWBC±発熱がまずでて色々検索するも原因不明→その後に下痢でCDIの診断、というCDIあるあるジレンマ 入院患者においてWBC>15000+下痢なし、の状況でCDI検索はするべきかに関してのJC先行研究(Clin Infect Dis. 2002 Jun 15;34(12):1585-92)WBCが…

【JC】重度好酸球上昇の鑑別 Am J Med. 2021 Jun;134(6):e374-e377.

重度好酸球上昇の鑑別がAJMにあがっていたのでAbstのみチェック 5000以上のEoの場合.. ・感染症の頻度は少ない ・入院中発症の場合はほとんどが薬剤 ということでした。 日本の疫学とかも興味あるところですね A Retrospective Review of 193 Cases of Sever…

【JC】家庭環境を対象とした介入を行った転倒予防のRCT

事件は現場で起きている!?ということで作業療法士による家庭環境を対象とした介入を行った転倒予防のRCT 結果はNegative studyと残念な結果。転倒予防研究はPopulationの選定とアドヒアランスや介入の遵守率がネックな気がしています。Positive studyが出な…

【JC】ヘルスメンテナンスの推奨度(Ann Fam Med. 2017 Jan;15(1):14-22)

今年度よりJPCA関東甲信越ブロックで行っている総合診療プログラム専攻医を対象としたオンラインレクチャー、第2回目のテーマ「ヘルスメンテナンスだ」の中で紹介されていた論文ですhttps://www.facebook.com/groups/302513727999950/Updated Priorities Amo…

Pisa症候群(Lancet Neurol. 2016 Sep;15(10):1063-74.)

Pisaの斜塔のような姿勢異常,Pisa症候群 パーキンソン病でみられることがある姿勢異常の1つで側屈を伴う軸索性ジストニア まとまって調べたことがないのでちらっと調べてみました。可逆性のことがあることや2方向でのレントゲン撮像は知らなかったことなので…

【Review アクセプト】CDSSに関するScoping review

【友情・努力・勝利】Plus Ultra ということで成功の確約なくTrialをしたScoping reviewなんとかIJERPHという雑誌にアクセプトをいただきました。共著の皆様には本当にありがとうございました!!Scoping reviewはメリットも色々有るんですが、やってみてわか…

【JC】イギリスのプライマリ・ケア領域の診断エラーの測定研究

イギリスのプライマリ・ケア領域の診断エラーの測定研究(BMJ Qual Saf. 2021 Jun 14;bmjqs-2020-012594.) 診断機会の損失は4.3%で発生,37.1%で中等度以上の害をもたらしていた プロセスでの主な要因は診察,検査の実施と解釈,フォローアップ関連が多く,72%は2…

上半規管裂隙症候群

末梢性めまいの鑑別の1つとしての「上半規管裂隙症候群」 Tulio現象(眼振やめまいが音で誘発される)が陽性の人の慢性めまいの人を診る機会があったので振り返り/知識再確認に ■ SUPERIOR CANAL DESHISCENCE SYNDROME/SCDS/J Clin Neurosci 2018; 48:58–65 上…

前庭てんかん

続:持続1分以内のめまいの鑑別シリーズ 特に数秒間だけ持続するめまいの鑑別に上がる「前庭てんかん」...ちょっと調べてみました。 Epilepsy and the cortical vestibular system: tales of dizziness and recent conceptsFront Integr Neurosci. 2013 Nov 1…

稀な末梢性めまいとしての前庭発作症

持続時間1分未満のめまいの鑑別を考えるか?というディスカッションで非常勤先で一緒に内科外来しているスーパー後期研修医の先生に教えていただきました 三叉神経痛のⅧ Versionみたいなイメージがわかりやすいかもしれません。 ●前庭発作症 Vestibular paro…

備忘録:食後低血圧に関して

■食後低血圧 Postprandial hypotension に関して ■病態や疫学など・食後低血圧の病態は十分にはわかっていない。脾臓の血液貯留に対する交感神経の補正の不十分,圧反射低下,食後の心拍出増加不十分,末梢血管収縮,インスリンによる血管拡張,消化管ペプチドに…

【JC】プライマリ・ケアでの転倒介入/Negative study(Health Technol Assess. 2021 May;25(34):1-114)

ガチっぽいデザイン+大規模研究での転倒介入Negative studyなので個人的には残念でした。論文の量に悶絶しつつ流し読み(Discussion部分が個人的には最高でした).コストに関して一旦カットしてます。 Negative Studyではありますが...Fall prevention interve…