ある病院総合診療医の備忘録+α

関東在住の総合診療医・老年病専門医です。日々の学びの書き留め用に。 Twitterもはじめました。 @GHhrdtk

ケース流し読み 40代男性 両側の縦隔リンパ節腫脹,眼窩偽腫瘍,腎腫瘍,急性膵炎

□ケース流し読み 40代男性 両側の縦隔リンパ節腫脹,眼窩偽腫瘍,腎腫瘍,急性膵炎

※注意:ネタバレ含みますので注意してください

Mayo Clin Proc.2019;94(3):531-535のケースです。中年男性に「眼窩」+「腎臓」+「膵臓」...あたりタイトルをみてピンと来る人もいると思います

ケースは2型糖尿病,GERD,慢性副鼻腔炎の既往がある40代男性が慢性経過の乾性咳嗽,呼吸苦,倦怠感で受診,両肺でラ音が聴取され,CTで両側肺門部リンパ節腫脹と散在性の小結節影あり
生検したら非乾酪性肉芽種がでてきた
真菌の検査は陰性でANCAも陰性,サルコイドーシスの診断でPSLがされた
で、その4ヶ月後に急性膵炎を発症し,両側の上眼瞼腫脹,Dry eye,副鼻腔炎の悪化,涙腺の腫大がでてきてCTで両側の腎臓の腫瘤性病変も出てきた。診断はなんでしょう、という症例でした。


急性膵炎のCT画像がびまん性のソーセージ様膵肥大で自己免疫性膵炎に矛盾せず,生検結果もふまえIgG4関連疾患の診断でした。なお,サルコイドーシスは眼窩病変をきたすことはあるが膵炎はあまりきたさない,GPAは副鼻腔炎や腎障害はおこすが腎腫瘤はきたさないということでした。

 

なお、両側肺門LN腫脹+眼窩偽腫瘍+腎腫瘍でisabel起動してみたところ鑑別のTOPはやはりIgG4RDでした

ほかの鑑別はTB,サルコイドーシス,Erdheim-chester,リンパ腫,GPA...etc

Erdheim-chester確認したら眼窩に2割くらい病変がでるようです。

逆にこういうふうに鑑別を勉強するのもありなのかなと思いました。

両側の眼窩病変の鑑別(N Engl J Med 2016;374:470-7.)によると

・肉芽腫性疾患(サルコイドーシス,GPA)
・炎症性偽腫瘍/IgG4関連
・リンパ腫
・エルドハイムチェスター
 

 

 

isabelの鑑別リストには出ていないですがCastlemanとIgG4もかなり紛らわしい印象です。


解説など勉強になった点を抜粋
・中高年の男性に好発する,男女比は3:1
・孤立したIgG4上昇は診断の助けになるが,色々な疾患で上昇するので特異度は低い(実は「IgG4上昇だけ」の鑑別疾患はかなり多いです)
・PlasmablastというバイオマーカーがありIgG4RDで有用っぽい。PlasmablastはIgG4RDの診断,治療への反応性,再治療の時期の決定に有用な可能性があるが日常臨床では利用不可
・原因不明の臓器腫大,好酸球上昇,高グロブリン,IgE上昇,低補体はIgG4RDっぽい

□IgG4の罹患臓器のリスト
1型自己免疫性膵炎
IgG4関連胆管炎
慢性硬化性唾液腺炎
両側対称性の無痛性の涙腺や唾液腺腫脹(ミクリッツ病)
慢性硬化性涙腺炎
炎症性眼窩偽腫瘍
後腹膜線維症
大動脈炎
甲状腺
IgG4関連硬化性乳腺炎
肺炎症性偽腫瘍や間質性肺炎
腎臓の炎症性偽腫瘍
下垂体炎
髄膜炎
前立腺炎
皮膚偽性リンパ腫
全身性リンパ節腫瘍
収縮性心膜炎

ケースのQ&Aでもでていたのですがこの症例はIgE上昇と好酸球上昇があり、これもIgG4RDっぽい所見になります。低補体は知らなかったので勉強になりました。IgG4の場所のリストをみるともうなんでもありですね...。