ある病院総合診療医の備忘録

関東在住の総合診療医・老年病専門医です。日々の学びの書き留め用に。 Twitterもはじめました。 @GHhrdtk

IgG4関連疾患/好酸球/IgE上昇

好酸球上昇の鑑別にIgG4」に関して,Mayoのケースをきっかけに少し調べてみることにしました。

 
□Increases in IgE, Eosinophils, and Mast Cells Can be Used in Diagnosis and to Predict Relapse of IgG4-Related Disease.
Clin Gastroenterol Hepatol. 2017 Sep;15(9):1444-1452.e6.

500/μl以上の好酸球上昇は38%
125kIU/L以上のIgE上昇は54%
IgG4RDの63%はアレルギーの既往があり,40%はアトピーの既往があった

□Prevalence of atopy, eosinophilia, and IgE elevation in IgG4-related disease.
Allergy. 2014 Feb;69(2):269-272

後腹膜線維症をのぞいてアトピーがある人のIgG4RDが臓器障害が多い
IgE上昇は35%であり平均は523 IU/ml
好酸球上昇(500/μl以上)は27%であり平均は1062/μl

アトピーがある人は52%で好酸球上昇,62%でIgE上昇
アトピーがない人は15%で好酸球上昇,24%でIgE上昇
アトピーがある人のほうが好酸球もIgEもIgG4も高い(641 vs 365/μl,454 vs 153mg/dl, 742 vs 342mg/dl)が有意差はなかった

IgG4RDの人の3割くらいにアトピーがあるが一般集団の有病率と変わらない
プリックテストふくめアレルギーの検査をしても特に原因はなかった
アトピーのせいというよりもIgG4の免疫に関連して好酸球やIgEが上昇しているのではないか


□Diagnostic Approach to the Complexity of IgG4-Related Disease.(Mayo Clin Proc. 2015 Jul;90(7):927-39.)

めっちゃ勉強になるレビュー論文でした。この文献では好酸球上昇(軽度-中等度)は34%程度という記載でした。

レビュー論文(Mayo Clin Proc. 2015;90(7):927-939. )のアプローチの図ですが
「1つ以上の腫瘤性病変」
「画像で単一/多発の結節/腫瘤か腫大臓器,MRIだとT2WIで低信号」
「検査結果異常:好酸球上昇,IgE上昇,高ガンマグロブリン血症,低補体」
など組み合わせてIgG4を疑うというような図式になっています

 

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□その他メモ

ほかに木村病+IgG4RDの報告(Clin Rheumatol. 2015 Feb;34(2):385-9.)もありました。IgG4RDとANCA関連血管炎とのoverlapの話もあり,illness scriptをきたえて備えておきたいところです。

IgG4は「CRPがあがらない」という印象をもっていたのですがレビュー論文(Mayo Clin Proc. 2015;90(7):927-939. )読んで知ったのが、軽度のようですが23%程度はあがるという記載でした。

 

●まとめ

 

IgG4RDで3-4割ほど軽度-中等度の好酸球上昇が起きる

好酸球上昇,低補体,Hyperganmma,IgE上昇などはIgG4RDを考慮する検査異常の1つ