Ocular bobbingといえば橋出血、と国家試験で覚えたのは懐かしい記憶なのですがこのへんのフィジカル、実は
Ocular bobbing:下方向に急速に移動してゆっくり上方向に戻る
Reverse ocular Bobbin/Ocular dipping:下方向にゆっくり移動して急速に上方向に戻る
Reverse ocular dipping:上方向にゆっくり移動して急速に下方向に戻る
(上2つと違って上転する)
とややこしくわかれます
(JAMA Neurol. 2019 Aug 12. doi: 10.1001/jamaneurol.2019.2393)
ここに記載したもの以外にも色々あったりと...するのですがひとまず今回はOcular bobbingに関して
□Ocular bobbing
まず動画へのLinkを
Teaching Video NeuroImages: Slow upward ocular bobbing.
Neurology. 2016 Apr 19;86(16):e179.
https://www.youtube.com/watch?v=YuJ4iwHjhw8
1964年にFIsherによって最初に記述された眼球所見で上記のようにまず下方向に急速に移動して,ゆっくり上方向に戻る...という動きになります。(Arch Neurol. 1964;11 (5):543-546. )
このocular bobbingはTypical/典型的とAtypical/非典型的に分かれていています。
典型的なocular bobbingは橋の内因性疾患によって水平の眼球運動を司る橋部傍正中網様体の障害により生じると考えられており,自発的ないし反射的な眼球の水平運動がありません(J Neurol Neurosurg Psychiatry. 1988;51(5):725-727)。
主な鑑別は橋病変(出血,腫瘍,梗塞)でほかに脳実質外腫瘍,脳炎,中毒/代謝性障害になります。(J Neurol Neurosurg Psychiatry. 1988 May;51(5):725-7.)
非典型的なパターンは自発的ないし反射的な眼球の水平運動が保たれていたり,片側性のものがあります。鑑別としては閉塞性水頭症,代謝性脳症,小脳出血になります(Ann Neurol. 1981 Feb;9(2):194-7.)
□まとめ
・Ocular bobbingは下方向に急速に移動してゆっくり上方向に戻り,典型的には両側性の所見かつ水平方向の眼球運動は消失しているが非典型例もある。橋病変でよくみられるが脳実質外腫瘍,脳炎,中毒/代謝性障害などでもみられる
・下方向にゆっくり移動して急に上方向に戻る、だとOcular dippingという所見になり鑑別もかわる