ある病院総合診療医の備忘録

関東在住の総合診療医・老年病専門医です。日々の学びの書き留め用に。 Twitterもはじめました。 @GHhrdtk

【JC】FRID:fall risk-increasing drugに関するシステマティックレビュー

FRID:fall risk-increasing drugに関するシステマティックレビュー
FRIDの定義はいろいろですが通常はBZO,Z-drug,抗精神病薬,抗うつ,オピオイド。場合によっては心血管や血糖降下薬がふくまれることもあります。

 

今回の内容としては

・転倒した高齢者ではFRIDの使用率は高い

・転倒後もFRIDの使用は変わらない

・FRID減少のみ単一の介入では転倒の減少に効果的ではない可能性がある。

などでした

 

Use of Fall Risk-Increasing Drugs Around a Fall-Related Injury in Older Adults: A Systematic Review.
PMID:32064594
J Am Geriatr Soc. 2020 Feb 17. doi: 10.1111/jgs.16369


Object:
1.FRIDの使用率
2.最も処方されているFRID
3.転倒後FRIDの処方は減っているか
4.転倒歴の高齢者に対してどの介入が転倒やFRID使用が減少するか
を調べる
Design:システマティックレビュー
Measurement:2019年6月までPubmedとEMBASEで検索。2人のレビューアが独立してデータを抽出し,バイアスを評価。矛盾点は2人の合意で解決した。
Result:
10の観察研究と4の介入研究が該当した
転倒で受傷した時のFRID使用率は65-93%
多いのは抗うつ薬と鎮静/睡眠薬。内訳は抗うつ薬は15-40%,抗精神病薬は3-14%,オピオイドは4.4-21.1%,鎮静薬/催眠薬は8.5-51.0%
2つの観察研究ではFRIDの減少なし
3つのランダム化比較試験ではFRIDの使用は減ったが転倒は減少なし
外来の高齢者クリニックで行われた非ランダム化(事前/事後)介入研究では介入群で転倒が減少した。
Conclusion:
限られたエビデンスだが転倒した高齢者ではFRIDの使用率は高く,転倒後もFRIDの使用は変わらない。FRIDの使用と転倒歴のある高齢者の転倒を減らすために、適切に設計された介入が必要です。FRID減少のみの単一の介入では転倒の減少に効果的ではない可能性がある。