ある病院総合診療医の備忘録

関東在住の総合診療医・老年病専門医です。日々の学びの書き留め用に。 Twitterもはじめました。 @GHhrdtk

【JC】OAと高齢者医療

OAはmultimorbidity,polypha...OA×高齢者医療は色々と関連が強そうな感じですね。今回は

OA→フレイルのリスク(BMC Musculoskelet Disord. 2015 Nov 17;16:359.)

OA→社会的孤立のリスク(J Am Geriatr Soc. 2020 Jan;68(1):87-95)

という2つの論文の紹介になります



Osteoarthritis and frailty in elderly individuals across six European countries: results from the European Project on OSteoArthritis (EPOSA).
BMC Musculoskelet Disord. 2015 Nov 17;16:359.

背景:OAは高齢者で多い障害の1つ。OAとフレイルの関係を調査した
患者:65-85才 2455人 6つの国(ドイツ,イタリア,オランダ,スペイン,スウェーデン,イギリス)。年齢,性別,教育レベル,肥満,国などの項目でロジスティック回帰を使用して調べた
結果:有病率はOAは30.4%,フレイルは10.2%,プレフレイルは51.0%。OAがあるとフレイル(OR 2.96),プレフレイル(OR 1.54)になりやすいかった。OAの障害関節数が多いほど関連性は強くなる
結論:高齢者においてOAはフレイルやプレフレイルに関連している


Association Between Osteoarthritis and Social Isolation: Data From the EPOSA Study
J Am Geriatr Soc. 2020 Jan;68(1):87-95

 
目的:EPOSA研究の前向き研究データーからOAと社会的孤立に関連をするか調査する
デザイン:12-18mの前向き研究
参加者:ヨーロッパに住んでいる高齢者
測定:社会的孤立,OA,年齢,性別,障害関節,並存疾患
結果:1967人のデータが得られた。ベースラインで19%に社会的孤立があり,フォローアップ中新規に13.9%が社会的孤立を経験した。ロジスティック回帰分析を使用後,OA,認知障害,うつ,歩行時間の悪化が社会的孤立と関連していた。股関節や膝関節のOAは手のOAより社会的孤立を増加させた(OR 1.47)
結論:膝や股関節のOA,複数箇所のOAは社会的孤立のリスクを高める
(手のOAのみは有意差なし)