ある病院総合診療医の備忘録+α

関東在住の総合診療医・老年病専門医です。日々の学びの書き留め用に。 Twitterもはじめました。 @GHhrdtk

【JC】抗認知症薬と転倒

重度の認知症患者に処方されているアセチルコリンエステラーゼ阻害剤を中止しても有害事象(救急外来受診,入院,死亡)は増えず,骨折や転倒は減少したという研究(J Am Geriatr Soc. 2020 Apr;68(4):699-707.)

 

Risk for Health Events After Deprescribing Acetylcholinesterase Inhibitors in Nursing Home Residents With Severe Dementia
J Am Geriatr Soc. 2020 Apr;68(4):699-707.

背景/目的:エビデンスのなさや有害性の観点から重度の認知症患者ではアセチルコリンエステラーゼ阻害剤(AChEI)の必要性の再評価が勧められている。重度の認知症があり施設入所している人の有害事象(救急外来受診,入院,死亡)や深刻な転倒や骨折に対するAChEIの影響を評価する
Design:特別養護老人ホームの2015-16のDataを使用し,AChEIの廃止とすべての原因によるNegative event(入院,救急外来受診,死亡)、および深刻な転倒や骨折の関連を評価しました。
設定:米国のメディケア認定老人ホーム
参加者:AChEIを内服している65才以上の重症認知症患者(n=37106)

結果:参加者の内訳は白人(78.7%),女性(75.5%),80才以上(77.4%)。有害事象は31.6%(ER受診16.1%,入院8.4%,死亡7.1%),転倒や骨折は9.2%で発生した。(有害事象は0.56/一年,転倒や骨折は0.15/人年相当)。AChEIの中止はunadjusted models では負のイベント増加と関連したがfully adjusted modelsでは有意差なし。骨折や重度の転倒はfully adjusted modelsでも有意差があった(aOR 0.64, 0.16 vs 0.09/人年)。メマンチンの使用は結果に影響を与えなかった。

結論:AChEIの廃止は有害事象(救急外来受診,入院,死亡)の増加とは関連せず,骨折や転倒の低下と関連している