ある病院総合診療医の備忘録

関東在住の総合診療医・老年病専門医です。日々の学びの書き留め用に。 Twitterもはじめました。 @GHhrdtk

【JC 流し読み】85才以上のCOVID-19

COVID-19 in Older Adults: A Series of 76 Patients Aged 85 Years and Older with COVID-19
J Am Geriatr Soc. 2020 Dec;68(12):2735-2743.

 
85才以上,Clinical Frailty Scoreの中央値は6の集団のCOVID-19の報告
転倒が25%,消化器症状が22.4%,混迷のみの人が2%という非典型的パターンや,重症が50%,死亡率29%,という報告。

Abstract
背景:高齢者におけるCOVID-19の臨床像や死亡のリスクはよくわかっていない
目的:85才以上のCOVID-19の臨床的特徴と転機,死亡の危険因子を描写する
デザイン:前向きコホート研究
参加者や設定:85才以上で非ICUに入室したCOVID-19の患者,フォローアップは21d
測定:臨床所見および検査所見を収集した。Cox生存率分析を実施して 死亡に関連する因子を調べた。
結果:76名が入院した。年齢の中央値は90才で女性は55%。
Clinical Frailty Scoreの中央値は6。97.4%の人に並存疾患があり,64.5%が3つ以上あった。並存疾患は高血圧81.6%,認知症63.2%,心不全31.6%など。
多い症状は衰弱/asthenia(76.3%),発熱(75.0%),せん妄や混迷(71.1%),SpO2低下(59.2%),呼吸苦(50%),転倒が25%,消化器症状が22.4%で報告されている。重症度は軽症が15.8%,中等症が32.9%,重症が51.3%。合併症はARDS 28.9%,心不全 14.5%,ショック 9.0%。21dの死亡率は28.9%,男性の方が死亡が多かった(68.2%)。生存者の入院期間の中央値は12d(9-19.5d),志望の独立した予測因子は入院時のCRPとリンパ球の最小値だった。
発症から入院までの日数と死亡に有意差はなかった。
結論:COVID-19は高齢者では重症型が大半を占め、3週間の死亡率も高い。高齢者では多臓器損傷や非典型的な臨床症状を含む特徴的な特徴が確認されている。早期発見と集中的なサーベイランス,高齢者への感染を回避するための予防戦略が必要