ある病院総合診療医の備忘録+α

関東在住の総合診療医・老年病専門医です。日々の学びの書き留め用に。 Twitterもはじめました。 @GHhrdtk

JC 流し読み:日本における経鼻胃管,胃瘻,静脈栄養が行われた高齢者の予後

Long‐term prognosis of enteral feeding and parenteral nutrition in a population aged 75 years and older: a population‐based cohort study
BMC Geriatr. 2021 Jan 28;21(1):80.

大浦先生の記事でしった日本での研究

結果がわかりやすく,Back groundもふくめ読んで大変勉強になりました
 
あと色々な背景からだとはおもうのですがずっと胃管が留置されている人をみることがあります。しかし,6週間を超える経鼻胃管留置は一般的にすすめられていません。。。

背景:高齢者においては予後を考慮して胃瘻増設術や経鼻の胃管栄養をつかった経腸栄養や経静脈栄養を行うべきである。本研究では胃瘻造設(GS),経鼻胃管栄養(NGT),経静脈栄養(PN)を実施した75歳以上の患者の長期予後を検討した。
方法:奈良県国民皆保険を用いた集団ベースのコホート研究。本研究では、2014年4月から2016年3月までの入院期間中にGS(N=770),NGT(N=2370),PN(N=408) を受けた75歳以上の患者3548人を登録した。GS群はさらに、365日以内にNGTまたはPNが先行している二次GS(N=400)群と,NGTまたはPNが先行していない一次GS(N=370)群に分類された。二次GS群では356例(96%)の患者がNGTを受けていた。Outcomeは730日以内の死亡とした。悪性疾患の有無,年齢,性別,並存疾患,病院のタイプで調整したCox回帰分析を行った。
結果:3548人の参加者のうち2384人(67%)がGS,NGT,PNの開始後730日以内に死亡した。悪性腫瘍のない人で2年間の死亡率は二次GS 58%,一次GS 66%,NGT 68%,PN 83%、悪性腫瘍がある人では二次GS 67%,一次GS 71%,NGT 74%,PN 87%。非悪性腫瘍群ではCox回帰分析でPNと比較して二次GS HR 0.43,一次GS HR 0.51,NGT HR 0.71と死亡率の低下と有意に関連していた。
結論:75 歳以上の患者の約58~87%がGS,NGT,PN による栄養摂取を開始してから 730 日以内に死亡した。二次的にGSを受けた非悪性疾患の患者は、NGTまたはPNを受けた患者よりも2年後の予後が良好であった。ENとPNの開始を検討する際には,有効性と限界を認識すべきである。

追加:この研究の特徴はデーターベースを用いて98%の患者がフォローできている,一次性GS,二次性GS,NGT,PNと4つにわけて評価している点。LimitationとしてはMNAなどの栄養評価がない,並存疾患はCCIで調整しているが未測定の因子がある,NGTやPNの継続性は不明などが挙げられています。
 
※大浦先生のBlogはこちら

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