ある病院総合診療医の備忘録

関東在住の総合診療医・老年病専門医です。日々の学びの書き留め用に。 Twitterもはじめました。 @GHhrdtk

【JC 流し読み】ACNES 1116例の後ろ向き研究(Ann Surg. 2021 Feb 1;273(2):373-378)

Snap diagnosisの代表例であるACNES(前皮神経絞扼症候群)の1116例の後ろ向き研究の報告です
慢性腹痛ではACNESふくめ筋骨格疾患は必ず鑑別にあげる,そしてなによりも病歴と診察(特にCarnett)をしっかりするのがなによりも大事だとおもっています

 

Characteristics of 1116 Consecutive Patients Diagnosed With Anterior Cutaneous Nerve Entrapment Syndrome (ACNES)
Ann Surg. 2021 Feb 1;273(2):373-378

 
6年間,1116人のACNESの後ろ向き研究で示された4つの特徴
 
・疼痛がある部位の感覚障害(78%)
・pinch sign陽性(78%)
・Carnett's sign陽性(87%)
・modified 腹直筋鞘ブロックで50%以上改善(81%)
 
症例の多くは
 
若年ないし中年の女性でBMIは正常
突然ないし緩徐発症
疼痛の程度は6-8/10程度
診断が大幅に遅れた
 
という報告でした。
 
個人的には
 
・Table2の内容
場所:Th7 2% Th8 9% Th9 13% Th10 27% Th11 34% Th12 14%
左右:右 55% 左 30% 両側性 13%
・臓器症状様のものが47%であった
(つまり嘔気,腹部膨満感,食欲低下,排便の変化などの症状があってもACENSっぽくないとはならない)
 
という内容も勉強になりました