ある病院総合診療医の備忘録

関東在住の総合診療医・老年病専門医です。日々の学びの書き留め用に。 Twitterもはじめました。 @GHhrdtk

【JC 流し読み】後見人の有無でも終末期治療の選択に変わりはない

意思決定能力を失ってしまった患者さんのために選ばれた後見人の場合,終末期において強めの治療をするか?という問いへの答えがJAGSで出ていました(J Am Geriatr Soc . 2021 Feb;69(2):342-348.)

違う国の研究なので日本で同じ結果がでるかはなんともですが、自分のイメージと違う結果で勉強になりました

 

Guardianship and end-of-life care for veterans with dementia in nursing homes.

J Am Geriatr Soc . 2021 Feb;69(2):342-348.

背景/目的:専門後見人は意思決定能力を失った患者の代わりに医療上の意思決定を行うことをまかされた人であり,個人とは以前の関係がないため終末期が近くでも負担の大きい治療を選ぶと思われていたがそのエビデンスはなかった
デザイン:後ろ向きコホート研究
設定と参加者:2011-2013年に死亡した65才以上の退役軍人のうち介護施設の入所中で中等度以上の認知症を持つ人の出たーを使用した。後見人がいる人といない人で年齢,性別,人種,認知症の重症度,介護施設の種類を1:4の比率でマッチさせた
測定:
主要アウトカムは死亡前30d以内のICU入院。副次アウトカムとして死亡前30d以内の機械換気と心配蘇生,死亡前90d以内の経管栄養留置,死亡前90d以内の3回以上の病院への搬送,院内死亡

結果:
ICU入院は後見人がいる群で多かった(17.5% vs 13.7%)が有意ではなかった。他の治療に関しても有意差はなく一貫したパターンもなかった。
結論:後見人の有無で強度の高い治療の割合はかわらない。後見人がいない群でも強度の高い治療が予想外に行われていた。