ある病院総合診療医の備忘録+α

関東在住の総合診療医・老年病専門医です。日々の学びの書き留め用に。 Twitterもはじめました。 @GHhrdtk

【JC流し読み】終末期医療にはパラダイムシフトが必要!?

JAGSのEditorialより

We Need a Paradigm Shift Around End-of-Life Decision Making
J Am Geriatr Soc. 2021 Feb;69(2):327-329

どう解釈するかは色々考えがあると思いますが勉強になりました

(現状だとこのへんの進展が漸進的なので...)終末期の意思決定に関する諸問題を個々の問題にしたり、寛容になるのではなく、システムや社会学や行動学のアプローチをつかってもっとうまくできないかという内容でした

 

We Need a Paradigm Shift Around End-of-Life Decision Making
J Am Geriatr Soc. 2020 Nov 10. doi: 10.1111/jgs.16899.

エビデンスは乏しいが,専門後見人は意思決定能力を失った患者の代わりに医療上の意思決定を行うことをまかされた人であり,個人とは以前の関係がないため終末期が近くでも負担の大きい治療を選ぶと思われていた。
Journal of the American Geriatrics Society誌のこの号で、Cohenらは、中等度から重度の認知症を持つ65歳以上の老人ホーム入居者で、専門の後見人がいた退役軍人は、専門の後見人ではない意思決定者と一緒に死亡した同じ集団に比べて、高強度の治療を受ける可能性は低いことを発見した。(J Am Geriatr Soc. 2020 Nov 10. doi: 10.1111/jgs.16900)

1960年代につくられたLiving willは患者が様々な状況を想定して受けたい治療を事前に記述するという方法で自律性を確保するというものだった。しかし,実際に直面する無数の治療の決定やシナリオに対応できないという認識から現在では意思決定の代行者や後見人にうつすという方法が行われている。

代行者の判断は自身の好み,感情,罪悪感から切り離し,対象者が事前の治療プランに関する会話や,その人が望んでいたであろうことをまとめ推定することが前提になっている

事前の指示書があっても一致しないことは驚くべきことではない
代行者や臨床医は事前指示書と一致しない治療法を選択することが多い(J Palliat Med.2017;20(12):1400-1404.Arch Intern Med. 2004;164:1531-1534)
ケアの好みは永続的なものではなく,選択肢そのものが代行者の選択にも大きく影響する(J Am Geriatr Soc. 2007;55(7):1007-1014.Crit Care Med. 2013;41(7):1686-1691)


Cohenらの代理人による意思決定は通常と変わりないという知見(J Am Geriatr Soc. 2020 Nov 10. doi: 10.1111/jgs.16900)は米国でのACPへの集中的な取り組みから代理意思決定へのパラダイムを検討してもよいという発見である

いくつかの研究で事前のACPが強強度の治療の減少と関連していることが示すものもあるが,効果が乏しい,あるいは効果がないという大規模研究がある(J Pain Symptom Manage. 2018;56(3):436-459.e25.JAMA Intern Med. 2020 Aug 1;180(8):1070-1078.Br J Cancer. 2018 Nov;119(10):1182-1190.)

(略)

我々はACP,AD,代理人の判断の問題点に寛容になるべきではなく,意思決定能力のない人の意思決定の改善のために他の戦略を検討する必要がある。
緩和ケアや老年科学会は社会学,組織行動,システムデザインなど社会的な相互作用やネットワーク行動を理解した他分野の経験がある人の知識や方法論と協力し適応させる必要がある。高強度のケアに対して積極的な現状に対して広範で体系的な変化が起こらない限り,漸進的な変化しか見られないであろう。