ある病院総合診療医の備忘録+α

関東在住の総合診療医・老年病専門医です。日々の学びの書き留め用に。 Twitterもはじめました。 @GHhrdtk

【JC】高齢者でNSAIDsが必ずしも有害とは限らない!?(J Am Geriatr Soc. 2021 Mar;69(3):726-734)

高齢者医療においてNSAIDsは須く悪い、というのも極端な気もしますし、こういう検証は大事だと思います

暴露が自己申告というのが気にはなりますが。。

Association of Non-Steroidal Anti-Inflammatory Drugs with Kidney Health in Ambulatory Older Adults
J Am Geriatr Soc. 2021 Mar;69(3):726-734.

□Intro

・NSAIDsによるAKIのリスクの大きさや集団間のばらつきについて関しては明らかになっていない
・高齢者はNSAIDによる腎毒性のリスクが特に高いことが懸念され,Beers CriteriaにNSAIDsが含まれているが、NSAIDに関連する長期的な腎障害のリスクは依然として不明である。
・高齢者は急性や慢性の疼痛に悩まされておりNSAIDsが安全に使えるのであれば恩恵を受ける可能性がある
・NSAIDsの腎毒性に関するほとんどの研究はCrとeGFRが用いられるが,Crの腎機能変化に対する感度や特異度に限界はあり,筋肉量による修正もある
・逆にシスタチンCは筋肉量の影響を受けずに高齢者のGFRの変化を検出できる
・ただしCrやcysCではNSAIDsの毒性が影響する尿細管の障害を検出できない可能性がある
・KIM-1,IL-18,NGAL,PⅢNP,α1m,UMODなどが尿細管の障害のバイオマーカーとなる

□概要

背景/目的:NSAIDsは特に高齢者において腎障害を起こす可能性がある。しかしこれまでの報告では一貫性がないのとCrベースのeGFRに依存しているという限界がある。複数の指標を用いて高齢者におけるNSAIDsの使用と腎障害との関連を調べた
デザイン:横断的と縦断的な分析
設定:多施設,地域ベースのコホート
参加者:Health ABC studyに参加した2999人の高齢者でサブコホート(n=500)を無作為に抽出しバイオマーカーの測定を行った
暴露:自己申告によるNSAIDsの処方や市販薬の使用
測定:ベースラインのeGR,cysC,ACR,KIM-1,IL-18を2999名,α1m,NGAL,PⅢNP,UMODを500名で測定。GFRは10年で3回推定され1年毎の変化率を表した。
結果:平均年齢は74才,51%が女性。ベースラインのeGFRはNSAIDs使用者(n=655)と非使用者(n=2344)で差はなかった。NSAIDs使用者はACR 30mg/dl以上が多く,尿中IL-18が低いが,KIM-1は同等。それ以外の尿中バイオマーカーでベースラインに差はなかった。NSAIDs使用者と非使用者でeGFR低下に有意差はなかった。
結論:自己申告のNSAIDs使用は複数の指標に基づく腎機能障害や腎機能低下と関連しておらず,外来での高齢者において安全にNSAIDsが使用できる可能性をしめす。NSAIDsの安全な使用パターンの定義にはさらなる研究が必要。