ある病院総合診療医の備忘録+α

関東在住の総合診療医・老年病専門医です。日々の学びの書き留め用に。 Twitterもはじめました。 @GHhrdtk

【JC】認知症の患者に非定型抗精神病薬を使用すると認知機能低下と関連(J Am Geriatr Soc. 2021 Apr;69(4):955-963.)

アルツハイマー認知症の患者に非定型抗精神病薬を使用すると認知機能低下(MMSE 0.9点低下)と関連という報告(J Am Geriatr Soc. 2021 Apr;69(4):955-963.)

また認知症のNPI‐Q/行動心理症状を改善する薬剤もありませんでした。


Psychotropic Medication and Cognitive, Functional, and Neuropsychiatric Outcomes in Alzheimer's Disease (AD)
J Am Geriatr Soc. 2021 Apr;69(4):955-963.

背景より抜粋
アルツハイマー認知症の精神神経症状に対する抗精神病薬エビデンスはそれほど大きくなく,症状の改善もわずか

・体重増加の副作用の報告もある
・それ以外に錐体外路症状,遅発性ジスキネジア,股関節骨折,死亡率の増加(NNH 26-50)

目的:AD患者において抗精神病薬の安全性と有効性に関しての懸念が高まっている。我々は、ADの大規模臨床コホートにおいて、向精神薬への曝露と、認知、機能、精神神経の長期予後との関連を調査する。
デザイン:縦断的観察研究
設定:39のアルツハイマー病センター
対象者:8034人のアルツハイマー認知症
測定項目:MMSE,CDR‐SB/認知症の重症度,NPI‐Q/行動心理症状,薬物療法をうけた確率はロジスティック回帰法を算出した。内服は抗精神病薬(非定型 or 定型),抗うつ(SSRI or 非SSRI),BZOに分類された。薬物治療を受けた参加者は、そのクラスの薬物治療を受けていない参加者と、最も近い傾向スコアでマッチングされた。薬物治療の効果は、線形混合効果モデルを用いて評価した。
結果:年齢は平均75.5才,MMSEの平均21.3,CDR‐SB/認知症の重症度の平均は5.5,NPI‐Q/行動心理症状の程度の平均は4.5.フォローアップの追跡は2.9-3.3年。非SSRI抗うつ薬の使用はCDR-SBの改善と関連(-0.38)。非定型抗精神病薬の使用はMMSEの低下(-0.91)とCDR-SBの悪化(0.50)と関連していた。NPI-Qの向上の向上と関連する薬はなかった
結論:抗定型抗精神病薬の使用は認知機能の悪化と関連し,神経精神症状の改善と関連する薬剤はなかった