ある病院総合診療医の備忘録+α

関東在住の総合診療医・老年病専門医です。日々の学びの書き留め用に。 Twitterもはじめました。 @GHhrdtk

【JC】POCNESの特徴を抑える(J Pain Res. 2019 Feb 19;12:715-723)

LACNESに続いてPOCNESに関して

 

●POCNESに関してのまとめ(J Pain Res. 2019 Feb 19;12:715-723.)

・ACNES様の痛みが傍脊椎3-5cm以内の分布にある(ほとんどがTh11と12)
・圧痛部位は狭く,感覚異常を伴い,Pinch signは86%で陽性
・鑑別診断は神経根性疼痛,脊椎関節症,Maigne's syndrome/上臀皮神経障害あたり。痛みの分布が特に鑑別に有用


Chronic localized back pain due to entrapment of cutaneous branches of posterior rami of the thoracic nerves (POCNES): a case series on diagnosis and management
Pain Physician. 2017 Mar;20(3):E455-E458.

POCNESの最初の症例報告
26歳女性,Th12から外側4cmに2×2cmの範囲の圧痛点+感覚低下/感覚異常あり
リドカイン局所注射で症状改善あり
第12肋間神経の後端枝を切除して症状は消失した


Chronic localized back pain due to entrapment of cutaneous branches of posterior rami of the thoracic nerves (POCNES): a case series on diagnosis and management
J Pain Res. 2019 Feb 19;12:715-723.

□Box1:Inclusion and exclusion criteria for posterior cutaneous nerve entrapment syndrome (POCNES)

□Inclusion criteria
1) 3ヶ月以上の局所的な背中の痛みの病歴
2) 棘突起の外側に限局した円周状の圧痛があり、小さくて予測可能な最大疼痛点を覆っている。
3) この最大痛点の上に、より広い範囲の皮膚の体性感覚の異常(感覚減退、感覚亢進、および/または冷感の変化など)がある。
4) 圧痛点を局所的に圧迫することにより、予測可能な激しい疼痛反応が起こる。
5) 正常な臨床検査および画像診断

□除外基準

1) 外科的瘢痕に関連する疼痛症候群
2) 脊椎レベルT7-L1の間で脊椎外科手術を受けたことがある者
3) コミュニケーション不能


●結果

14人のPOCNESのケースシリーズ
年齢の中央値は26才(18-73才)
12人が女性,2人が男性
6/14でACNESに対する切除歴があった
診断までの期間の中央値は22m(5-48m)
痛みの程度は8/10で神経性疼痛様
ほとんどがTh11,12の神経後枝
Pinch testは86%(12/14)で陽性
全ての患者でなんらかの感覚異常があった
左右差はなかったが,2/14で両側性だった

71%がリドカイン注射後に50%以上の疼痛軽減を報告
79%は数日〜数週間の疼痛軽減があった
1人は注射のみで改善,11人は神経切除を行い7人(64%)がうまくいった

□鑑別診断:神経根性疼痛,脊椎関節症,Maigne's syndrome/上臀皮神経障害

神経根性疼痛:特定の皮膚分節に放散する局所的な痛みが特徴
脊椎関節症:痛みのパターンは色々。長時間の立位,伸展,回旋で増悪する傍椎体の痛みが特徴。痛みは通常やや広い範囲に放散し,痛みが最大となる特定の場所はない
Maigne's syndrome/上臀皮神経障害:T12~L2の皮膚枝に対応する腸骨稜部に向かって放散する痛み。正中から7-8cmは離れている。
※POCNESは正中から3-5cmの分布