ある病院総合診療医の備忘録

関東在住の総合診療医・老年病専門医です。日々の学びの書き留め用に。 Twitterもはじめました。 @GHhrdtk

【JC】急性呼吸困難に対するPOCUSは診断精度改善 Ann Intern Med. 2021 Apr 27

急性呼吸困難に対するPOCUSは診断精度改善 Ann Intern Med. 2021 Apr 27
USを臨床現場でもっと使おう、には賛成ですが、どう使うべきかや「臨床での判断に影響するか」を検証するのはすごく大事です。(USを不要に追加したりしていないかの検証も)。この研究の結論にも限界にもすごく納得です。
 

Point-of-Care Ultrasonography in Patients With Acute Dyspnea: An Evidence Report for a Clinical Practice Guideline by the American College of Physicians
Ann Intern Med. 2021 Apr 27. doi: 10.7326/M20-5504.

背景:呼吸困難はよくある症状であり,診断のためにしばしば複数の検査が必要である
目的:急性の呼吸困難に対するPOCUSの有益性,有害性,診断の正確性を評価する
Data:2004年1月-2020年8月の論文を参考にした
研究の選択:急性呼吸困難を対象とした5つのRCT,44の前向きコホート,診断ツールとしてPOCUSが使われている研究。2人の研究者が独立して文献をスクリーニングし、対象とした。

データー抽出:2人の研究者が独立してバイアスのリスクを評価しエビデンスの確実性を判断した
データー統合:POCUSを追加すると正診が有意に増加した。院内死亡や在院日数は有意差なし。POCUSはうっ血性心不全,肺炎,肺塞栓,胸水,気胸を検出するための感度を一貫して向上させ,特異度もほとんどの研究で向上した
限界:
ほとんどの研究では診断精度を評価しているが,臨床での意思決定にたいする有用性は限られている。USでの結果が不確定であった割合を報告した研究はなく,悪影響に関するエビデンスもない
結論:POCUSは急性呼吸困難の患者での診断を向上することができる