ある病院総合診療医の備忘録+α

関東在住の総合診療医・老年病専門医です。日々の学びの書き留め用に。 Twitterもはじめました。 @GHhrdtk

稀な末梢性めまいとしての前庭発作症

持続時間1分未満のめまいの鑑別を考えるか?というディスカッションで非常勤先で一緒に内科外来しているスーパー後期研修医の先生に教えていただきました😊

三叉神経痛のⅧ Versionみたいなイメージがわかりやすいかもしれません。

 

●前庭発作症 Vestibular paroxysmia

・数秒〜数分の短時間のめまい発作を反復する疾患の1つ
・発作は頭位変換や過呼吸によって誘発されることが多い
・内耳症状はあってもなくてもよい
・中枢性前庭障害,眼球運動障害,脳幹徴候を認めない。
・AICA由来の脳神経Ⅷに対する神経血管圧迫症候群でMRi/MRAで95%以上の症例で第8神経の神経血管の圧迫が確認される
カルバマゼピンが治療薬の1つ


■前庭性発作症(Vestibular paroxysmia:VP)の診断基準(J Vestib Res 2016;26:409-15)

1.前庭性発作症(vestibular paroxysmia)
A-Eの基準全てを満たす
A:少なくとも10回の自発性の回転性あるいは非 回転性のめまい発作を認める
B:めまい発作の持続時間は1分以内である
C:めまい発作に伴う特徴的な脳神経症状が存在 する
D:カルバマゼピン,オクスカルバゼピンが奏功 する
E:他の疾患ではうまく説明できない。


2.前庭性発作症疑い(probable vestibular paroxysmia)
A-Eの基準全てを満たす
A:少なくとも5回の回転性あるいは非回転性の めまい発作を認める
B:めまい発作の持続時間は5分以内である
C:めまいは自発的ないし特定の頭部運動 により生じる
D:めまい発作に伴う特徴的な脳神経症状が存在 する
E:他の疾患ではうまく説明できない。


●前庭性発作症に関して(J Neurol. 2016 Apr;263 Suppl 1:S90-6.)

・主な症状は回転性または非回転性の短時間のめまい発作(典型的には1分以内で,1日に30回以上連続して起こる)
・発作は頭位変換や過呼吸によって誘発されることが多い
・内耳症状を伴うこともある
・中枢性前庭障害,眼球運動障害,脳幹徴候を認めない。
・めまいセンターの外来患者のうち3.7%という報告も

・昔は“disabling positional vertigo”という病名であった
・小脳橋角部のAICAによるⅢの圧迫で生じる
MRI/MRAで95%以上の症例で第8神経の神経血管の圧迫が確認される
カルバマゼピン(200-600mg/d)やオカルバゼピン(300-900mg/d)に反応する事が多い


●前庭性発作症の鑑別診断/(J Neurol. 2016 Apr;263 Suppl 1:S90-6.)

脳幹のてんかん
上斜筋ミオキミア(単眼の垂直回転性の動揺視)
前庭性片頭痛
BPPV
機能性めまい
回転性椎骨動脈閉塞症候群/Rotational vertebral artery occlusion syndrome
上半規管裂隙症候群
中枢性の頭位眼振
起立調節障害
前庭てんかん,てんかんの前兆