高齢者の血圧管理に関して
1.血圧は死亡14-18年前にピークを迎え徐々に減る(JAMA Intern Med. 2018 Jan 1;178(1):93-99.)
2.2剤以上併用の高齢者で降圧剤中止してもあまり変化はない(JAMA. 2020 May 26;323(20):2039-2051.)
Blood Pressure Trajectories in the 20 Years Before Death
JAMA Intern Med. 2018 Jan 1;178(1):93-99.
死亡前の血圧のデーターを後ろ向きに解析した研究
血圧は死亡の14-18年前にピークをむかえ徐々に減る
ピークからの変化は
60台で死ぬ人は-8.5mmHg
70台で死ぬ人は-13.8mmHg
80台で死ぬ人は-19.1mmHg
90台で死ぬ人は-22.0mmHg
64%以上の人が10mmHg以上の低下があった
高血圧,認知症,心不全,体重減少のある人でそのスピードははやい
体重が20kg以上減少した人ではより低下する傾向があった -24.87 vs -15.91
血圧の低下は、死の10年前から3年前までは直線的であったが、人生の最後の2年間で急に低下した。
死の10~3年前からのSBPの低下
高血圧 -1.58/年,認知症 -1.81/年,心不全 -1.66/年
Effect of Antihypertensive Medication Reduction vs Usual Care on Short-term Blood Pressure Control in Patients With Hypertension Aged 80 Years and Older: The OPTIMISE Randomized Clinical Trial
JAMA. 2020 May 26;323(20):2039-2051.
複数の降圧剤を使用している80歳以上の高齢者569名を対象に,そのままと1剤中止でRCTをしたところ12w後にSBPが150mmHgをこえた割合は13.6% vs 12.3%(aRR 0.98)と非劣性だった
2群の血圧の差は薬剤中止群のほうが3.4mmHg血圧が高かった
フレイル,QoL,有害事象に関しては有意差なし
●まとめ
・血圧は死亡の14-18年前にピークをむかえ徐々に減る,特に最後の2年は一気に減る
・複数降圧剤を内服している高齢者で薬剤を止めても血圧はあまり変わらない(中止にリスクはあまりなし)