ある病院総合診療医の備忘録+α

関東在住の総合診療医・老年病専門医です。日々の学びの書き留め用に。 Twitterもはじめました。 @GHhrdtk

【JC:降圧剤で転倒するのか①】

JC:降圧剤で転倒するのか①

降圧の歴史を変えたSPRINTstudyの関連文献で高齢者の降圧で転倒を増えるか調べてみました

SPRINTstudyに組み込まれるような(高リスクの)健康な高齢者では降圧による転倒リスクで有意差は出ない、という結果

 (関連文献の多さにも驚きました)

 

Intensive vs Standard Blood Pressure Control and Cardiovascular Disease Outcomes in Adults Aged ≥75 Years: A Randomized Clinical Trial
JAMA. 2016 Jun 28;315(24):2673-82.

SPRINTに参加した75歳以上の患者を対象とした多施設共同無作為化臨床試験
120mmHg未満の降圧と140mmHg未満の降圧の比較でOutcomeは複合(急性冠症候群,脳卒中,心不全,心血管イベントによる死)
フォローアップは平均3.14年で複合転機は34%減少,全死亡も33%減少
重篤な有害事象の全体的な発生率は有意差なし
(低血圧,失神,電解質異常,AKI,転倒は多い傾向にあったが有意差なし)


Impact of Intensive Blood Pressure Therapy on Concern about Falling: Longitudinal Results from the Systolic Blood Pressure Intervention Trial (SPRINT)
J Am Geriatr Soc. 2020 Mar;68(3):614-618.

SPRINT参加者の転倒に関しての解析
→120mmHg目標と140mmHg目標で転倒に有意差はなかった
→75歳以上の参加者では,転倒に関する自己効力スコアの平均値が1年ごとに0.3ポイント増加する傾向があった(治療群の比較では有意差なし)


Hypertension Treatment and Concern About Falling: Baseline Data from the Systolic Blood Pressure Intervention Trial
J Am Geriatr Soc. 2016 Nov;64(11):2302-2306.

SPRINT参加者の解析
治療,薬剤,転倒への懸念と転倒に関連性はなかった


Intensive vs Standard Blood Pressure Control in Adults 80 Years or Older: A Secondary Analysis of the Systolic Blood Pressure Intervention Trial
J Am Geriatr Soc. 2020 Mar;68(3):496-504.

SPRINT参加者の80歳以上の解析
120mmHg目標の降圧は140mmHg目標の降圧と比較して心血管イベント34%,全死亡33%,MCIが30%有意に減少した
認知機能(MoCA)が高いほど心血管イベントや死亡の複合イベントに対するメリットがあり,MoCAが低い人では有意差は出なかった
転倒は有意差なし