ある病院総合診療医の備忘録

関東在住の総合診療医・老年病専門医です。日々の学びの書き留め用に。 Twitterもはじめました。 @GHhrdtk

【JC】Diagnostic Excellence とは

タイトル的に...読まずにはいられないっ!!(JOJO1部風)
ということでJAMA view point より"Diagnostic Excellence"

良質な診断/優れた診断の6要素(安全,効果的,患者中心性,適時性,効率性,公平性)の紹介と,それぞれをうまくバランス良くやっていくのが大事だよねという話しでした。


Diagnostic Excellence
JAMA. Published online October 28, 2021. doi:10.1001/jama.2021.19493
https://jamanetwork.com/journals/jama/fullarticle/2785845
 

Diagnostic Excellence/優れた診断とは患者さんの状態について正確で精密な説明を得るための最適なプロセスを意味します。最適なプロセスとはタイムリーで,費用対効果が高く,便利で,患者にとって理解しやすいものである。正確で精密な診断はより良い治療の選択につながるという点で臨床的価値がある。


優れた診断は6つの要素がある



1.Safe

医療の安全性に関する懸念は、一般的に、病気とは別のケアの過程で生じる害に焦点を当てている。

診断に関しては、次の4種類のエラーが安全性を損なう可能性がある。
1.戦略上の誤り(最適な検査や順序を選択しなかった)
2.実行時のエラー(検査の実施にに伴うエラー)
3.解釈の誤り(診断情報の過大解釈,過小解釈,誤読)
4.コミュニケーションにおけるエラー

それぞれのカテゴリーに,commission/作為の誤り(するべきでなかったことをした)とomission/不作為の誤り(するべきだったことをしなかった)がある

2.Effective

診断の有効性の評価は個々の患者における正確で的確な診断を指すこともあれば,複数の患者における全体的なパフォーマンスを指すこともある。


3.Patient-Centered
 
優れた診断を行うためには,快適性,利便性,コストなど,患者の優先事項に注意を払う必要がある。患者さんとの効果的なコミュニケーションは,患者さんの理解度に合わせた説明を行い,患者さんのニーズや要望に適切に応えることです。

4.Timely

診断のタイミングが生死を分けることがあります。一部の例外を除いて診断の適時性に関する標準的な指標はまだ定義されていません。

5.Efficient

最も時間的・資源的に効率の良い方法で必要な答えを得るために,検査の種類と順序を選択することが必要である。不適切な検査,冗長な検査,価値の低い検査は無駄である。


6.Equitable

医療における公平性の達成は,予防や治療と同様に,診断にも当てはまる


上記6つの側面はすべて重要であるが,それらは互いに緊張関係にあるかもしれない。例えば,診断手順をより安全に行うことで遅延が生じることがあります(適時性が損なわれる)。より高度な診断技術を求めるであればアクセスの公平性が損なわれる可能性がある。優れた診断を実現するためには,このような相反するバランスをとることが必要になるかもしれません。


Box.Key Points for Diagnostic Excellence

1.診断ミス,遅延,ミスコミュニケーションは,標準以下のケアの原因となることがよくあります。
2.優れた診断には,最適なプロセスと患者の状態を正確に把握することの両方が必要です。
3.優れた診断とは,IOMが列挙した医療の質の6つの側面,すなわち,安全で,効果的で,患者中心で,適時性で,効率的で,公平な医療を意味します。
 
(4.このビューポイントは、JAMAの「診断の質」に関するシリーズの始まりです。)