ある病院総合診療医の備忘録

関東在住の総合診療医・老年病専門医です。日々の学びの書き留め用に。 Twitterもはじめました。 @GHhrdtk

【JC】骨粗鬆症性骨折に対する二次予防介入の有用性(J Am Geriatr Soc. 2021 Dec;69(12):3435-3444)

Cost-effectiveness of secondary fracture prevention intervention for Medicare beneficiaries
J Am Geriatr Soc. 2021 Dec;69(12):3435-3444

Key Points

 骨粗鬆症性骨折後の二次骨折予防介入は,メディケア受給者にとってコスト削減になる可能性が高く,結果として健康アウトカムの改善とコスト削減につながる。

Why Does this Paper Matter?

骨折後に骨粗鬆症治療を受ける患者は少ない。
二次骨折予防治療の拡大が有益である。


・多くのエビデンスにも関わらず米国では適切な骨粗鬆症治療の実施率は非常に低い
・骨折後、その後数年以内に次の骨折を起こすリスクが特に高くなるため、に骨粗鬆症治療を開始することは、特に重要だが二次予防として薬物療法を開始する患者は10%~20%に過ぎない

ということで米国でメディケアを対象に行われた二次予防介入研究

背景:骨粗鬆症性骨折後の二次骨折予防介入の費用対効果を評価した。
方法:新たに骨粗鬆症の骨折を経験した65歳以上の米国メディケア患者を対象に,通常のケアと比較した二次骨折予防介入の費用対効果を評価した。薬物療法を開始し、継続して治療を受けた患者は、5年間治療を受けるものとした。アウトカム指標として、その後の骨折、生涯平均コスト、質調整生存年、質調整生存年あたりの増分費用対効果比があがった。
結果:ベースケース解析の結果、二次骨折予防介入戦略は、通常の治療よりも効果が高く、かつ費用も低い、つまり費用節約になることが示された。モデルの結果では、介入により予想される骨折数が5年間で約5%減少し、100万人の患者で約3万件の骨折が予防されることが示された。二次的な骨折予防の介入により,生涯にわたって平均418ドルのコスト削減と,患者1人当たり0.0299の質調整生存年増加が得られた。
結論:新規の骨粗鬆症性骨折に対する二次骨折予防介入は,通常のケアと比較して,健康アウトカムを改善し,医療費を削減する可能性が非常に高い。