話題になっていた論文ではありますが...UpToDateの「What's new in geriatrics」より抜粋⑤
終末期のDeath rattle,いわゆる死前喘鳴,のどのゴロゴロに対してブチルスポコラミン 20mgを1日4回CSの有用性を示したRCT
Effect of Prophylactic Subcutaneous Scopolamine Butylbromide on Death Rattle in Patients at the End of Life: The SILENCE Randomized Clinical Trial
JAMA. 2021 Oct 5;326(13):1268-1276.
□Method
設定:多施設共同無作為二重盲検RCT
オランダの6つのホスピスで行われた
P:患者
・余命3日以上
・ホスピスで看取ることを患者さんが認識している
・研究に関しての情報が理解できる
除外基準①:気管切開や気管チューブがある人,抗コリンやオクトレオチドを使用,活動性の呼吸器感染症
除外基準②(臨死期に改めて再確認):抗コリン薬を使用中,活動性の呼吸器感染症,Death rattleがある
臨死期の徴候:患者はベッドに横たわり,一口の水分しか摂取できず,薬の内服は不可能,半昏睡のようにみえる...など医療従事者が判断
E:ブチルスポコラミン 20mg(1ml)を1日4回皮下注射群
C:生理食塩水 1mlを1日4回皮下注射群
Outcome:
主要転帰はDeath rattleは
4時間毎に評価し,
2回連続で認められた場合に出現と定義
副次転帰は臨死期の認識からDeath rattle発生までの時間,抗コリン薬の使用に関連する可能性のある事前に指定した有害事象(例:不穏,ドライマウス,尿閉)
探索的エンドポイントは臨死相の認識から死亡までの時間,他の薬物の使用,鎮静剤の使用
ほかに疼痛,呼吸困難,嘔気,嘔吐などの症状も測定された
□Result+Discussion
年齢中央値 76歳 157例,86%は悪性腫瘍が主病名
主要転帰のDeath rattleはスコポラミン群(79人) 13%,プラセボ群(78人) 27%
副次転帰でDeath rattleまでの時間はスコポラミン群のほうが低く,有害事象で差はなかった
Limitationは
・最終的な分析に至った患者は全体の10%
・呼吸器感染症の患者は除外
・死期に近づく前に Death rattleを発症した患者もいた
・臨死期の判断は医療従事者判断
・薬剤は皮下投与なのですべての状況において使用できない
など
□Conclusion
終末期の患者において、スコポラミンブチルブロミドの予防的な皮下投与は、Death rattleと比較して、デスガラスの発生を有意に減少させることがわかった。