ある病院総合診療医の備忘録

関東在住の総合診療医・老年病専門医です。日々の学びの書き留め用に。 Twitterもはじめました。 @GHhrdtk

【EMJ 掲載】尿膜管遺残膿瘍のClinical picture

研修医の長先生とみた尿膜管遺残膿瘍の症例をEmerg Med Jに掲載いただきました😊

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/35321922/
https://emj.bmj.com/content/39/4/278

腹痛+臍からの排膿という特異的な症状で受診されたのでSnap診断にいたった症例です

とはいえ、臍からの排膿が初期症状の人は54%です(J Emerg Med. 2018 Sep;55(3):333-338)

尿膜管遺残膿瘍は腹痛全体の0.03%というまれさもあって,多くの患者がプライマリ・ケア設定では見逃されているという報告(J Emerg Med. 2018 Sep;55(3):333-338)や表在所見や排膿がない腹痛だけの症例もあるので...診断が難しい症例もそれなりにあると思います。

個人的にはカーネットが陽性になるのもポイントかなと思っています(J Gen Intern Med2017;32:370)


□臍からの排膿の鑑別診断(Cases J. 2009 Jul 27;2:7785.J Gen Intern Med. 2017 Mar;32(3):360.)

尿膜管遺残膿瘍
毛巣洞/嚢の疾患(異物や毛による感染,‘Lint ball’ 臍炎)
非特異的感染症(臍の蜂窩織炎や膿瘍)
転移性悪性腫瘍(Sister Mary Joseph’s nodule).