ある病院総合診療医の備忘録

関東在住の総合診療医・老年病専門医です。日々の学びの書き留め用に。 Twitterもはじめました。 @GHhrdtk

【JC】Cervical angina(頚椎症性狭心症?)に関して

「Cervical angina」
狭心症に似た症状をおこしうる頚椎の障害に由来する前胸部痛の1
外来でこれっぽい人がいたので復習がてら確認してみました
 
頚椎病変の好発部位や、痛みの場所によって色々パターンをとりうることがわかって勉強になりました😊

 

 

Cervical Angina: A Literature Review on Its Diagnosis, Mechanism, and Management.
Asian Spine J. 2021 Aug;15(4):550-556.

 
□症状
 
痛みは鋭い痛み,押しつぶされるような痛みなどの表現
持続時間は5s未満から30分以上まで色々
発作性のこともあれば持続性のことも
 
関連症状として頸部痛や上腕の神経症状や後頭部の痛みが含まれる
患者の半数に呼吸困難,嘔気,めまい,複視などの自律神経症状をきたすという報告もある
 
症状のパターンとして
左側の胸痛の症例は神経根症状を伴いやすい
後胸骨部や心窩部の痛みでくる症例や自律神経症状を伴う症例は脊髄症を伴いやすい
というのがある
 
 
診断のためには心疾患の除外が必要
頸部画像はCervical anginaの診断のために重要な証拠でありMRIが推奨される
 
MRIは、椎間板ヘルニア、脊髄圧迫、または椎間孔の侵襲を含む頸椎の退行性変化を示すことがある。病歴、検査、画像所見が一致すれば、頚部狭心症の診断が可能である。
好発部位はC5/6,次にC6/7,その次にC4/5
背景疾患は10例の報告では6例ヘルニア,3例頚椎症性頚髄症,1例OPLL
Luschka関節の骨棘がCervical anginaの原因の可能性もあるが今後の研究が必要

診断的椎間板造影や選択的神経根ブロックは、頸部狭心症の診断に有用な手段だが侵襲的な検査ではあるので、手術を考慮する患者で検討する
 
□治療
 
ほとんどの人が保存的な治療でうまくいくとされており,少なくとも3mの保存的な治療が推奨される
牽引や頸部の固定が有効なこともある
理学療法,NSAIDs,筋弛緩剤なども報告がある
 
保存的な治療でうまくいかない場合や神経圧迫による症状が明らかな場合は外科的介入が推奨されることがある
 
 
□Table 2より症状のパターン
 
□Common
 
①前胸部痛は腕の神経根症(痛みやしびれ)を伴いやすい
②左前胸部痛は「頸部の痛みや圧痛」「頭痛」「自律神経症状(呼吸困難,吐き気,めまい,複視,発汗など)」などを伴いやすい
 
□Less common
 
胸骨下の痛みの症例は腱反射の亢進や減弱を伴うことも
胸骨後の痛みの症例は筋萎縮を伴うことも
肩甲骨部の痛みの症例は硝酸薬で緩和で緩和されることも
右胸痛の痛みのこともある