塩分制限にこだわっているわけではなく最近これ系の発表が多いだけに違いないと思いつつ...HFpEFでの塩分制限に関して否定的な研究が出たので読んでみました😊
Salt restriction and risk of adverse outcomes in heart failure with preserved ejection fraction
Heart. 2022 Jul 18;heartjnl-2022-321167
背景で述べられている概要
✓心不全では塩分制限が推奨されている
✓この塩分制限は観察研究に基づいたもので質の高いものではない
✓心不全患者でNa摂取制限の有害をしめすRCTがある
✓近年のSODIUM-HF試験(Lancet 2022;399:1391–400.)でも塩分制限と臨床的な転機に関連性はなかった
✓これらの研究でそもそもHFpEF患者は除外されることが多い
ということでHFpEFを対象としたTOPCAT試験( N Engl J Med 2014;370:1383–92.)のデーターを元に塩分制限の妥当性を確認した研究
50歳以上でEF45%以上の心不全患者が対象
1713人が最終的に解析対象
気になる塩分摂取量は患者の自己申告を元にした"Cooking salt score"で算出
Cooking salt scoreは調理時に加える塩分量を聴取し,食べ物4種類の合計とした
なし:0点
小さじ1/8:1点
小さじ1/4:2点
小さじ1/2以上:3点
主要アウトカム:心血管死亡,心不全の入院,蘇生に成功した心停止の複合アウトカム
副次アウトカム:全死亡,心血管死亡,入院
比較: Cooking salt score 1点以上
コントロール: Cooking salt score 0点
結果は...
Cooking salt score 1点以上の群のほうが
→主要アウトカム/複合アウトカムのリスクが低かった(HR 0.760, 95%CI 0.638-0.906)
→心不全入院が少ない(HR 0.737, 95%CI 0.603-0.900)
→心血管死(HR 0.782, 95%CI 0.598-1.020)と全死亡(HR 0.838, 95%CI 0.684-1.027)は有意差にはいたらず
傾向スコアマッチの感度分析でも同様の結果
自宅で食事を用意する人の解析でも同様の結果
サブグループ解析では70歳未満と非白人でより塩分制限による悪影響がおきやすい傾向にあった
という結果でした。
で、1日何gなの?というのは不明で、Limitationには
「塩分摂取量に関しては自己申告なので想起バイアスが入る」
「尿中Na排泄のデーターがない」
という記載でした。
中国の研究なので塩分量が日本に近いかなとか期待してしまったので、塩分量が不明なのは残念ですが、HFpEFでの塩分制限の研究でした😊
個人的には今後の方向性として、フレイル心不全患者での塩分制限の研究に密かに期待しています😊
心不全の塩分制限に興味ある人はこちらもぜひ御参照ください