ある病院総合診療医の備忘録

関東在住の総合診療医・老年病専門医です。日々の学びの書き留め用に。 Twitterもはじめました。 @GHhrdtk

【JC】降圧剤と起立性低血圧は関係ないのか? Ann Intern Med. 2021;174:58-68

先日のJAGSの論文(J Am Geriatr Soc. 2022 Aug;70(8):2310-2319.)では、座位→立位プロトコルは、仰臥位→立位プロトコルに劣る、という結論
そして、AIMのシステマティックレビュー(Ann Intern Med. 2021;174:58-68)では降圧剤と起立性低血圧に関連はない、むしろ降圧が大事という結論。しかしこの論文の起立性低血圧の判定は座位→立位プロトコルで行っている。
 
ということでもやもや。。
 
 
Effects of Intensive Blood Pressure Treatment on Orthostatic Hypotension : A Systematic Review and Individual Participant-based Meta-analysis
Ann Intern Med. 2021;174:58-68
 
AIMで出た降圧剤と起立性低血圧に関してのシステマティックレビュー&メタアナリシス
 
集中的な血圧低下治療により、OHのリスクはむしろ減少する。なので、起立性低血圧は、高血圧の治療を避けたり中止したりする理由と見なすべきではない。
 
という結論
 
(深く読み込んだわけでもないですが)うーん。。。と思っていた研究内容で...ちょっと解釈を保留にしていたんですが、最近納得がいきました。
 
・この研究は実は5つの研究のメタアナリシス。有名なACCORD,SPRINTが組み込まれていてPopulationの大半がSPRINT研究の人です。
・なのでここに組み込まれている高齢者はSPRINT研究の基準に該当する元気な高齢者と考えられます
・サブ解析では75歳以上や高血圧,CKD,脳卒中,糖尿病,心血管疾患などは解析されていますが、身体機能やフレイルなどは考慮されていない
 
またLimitationを参照すると
 
・OHの評価は座位→立位のプロトコルでやっている
・転倒や失神など症状の情報はなく、あくまでOHの解析である
 
という記載がありました。
 
そして、先日のJAGSの論文(J Am Geriatr Soc. 2022 Aug;70(8):2310-2319.)では、座位→立位プロトコルは、仰臥位→立位プロトコルに劣る、という結論
 
AIMのシステマティックレビューでも...ということで、なかなか論文の解釈って難しいな、というのと、実臨床の実感とミスマッチを感じる論文はしっかり吟味をする必要があるのだと改めて再認識しました。。。
 
降圧剤と転倒に関して興味ある人は是非こちらもご参照ください
 
 

【JC】起立試験は座位からではなく仰臥位から(J Am Geriatr Soc. 2022 Aug;70(8):2310-2319.)

Comparison of supine and seated orthostatic hypotension assessments and their association with falls and orthostatic symptoms
J Am Geriatr Soc. 2022 Aug;70(8):2310-2319.

起立性低血圧の検出には起立試験、となるわけですが

仰臥位→立位、とやる仰臥位プロトコル
座位→立位、とやる座位プロトコル
となる2つの方法があるようです。高齢者の転倒リスク群においてそれを検証したJAGSの研究です。
 
 
・起立性低血圧に関するガイドラインは仰臥位→立位、座位→立位、どちらも推奨するものがあり一定していない
・近年でたメタアナリシスでは座位プロトコルが使用されていた(Ann Intern Med. 2021;174:58-68)
・STURDY試験(VitDと転倒の関連を調べた研究)の付随で座位プロトコルと仰臥位のプロトコルが行われていた

本研究の目的は、STURDY試験のDataを使用して座位プロトコル vs 仰臥位プロトコルで以下を比較するために本研究が行われた

1.OHの検出率
2.転倒事故との関連性。
3.起立性症状との関連性。

□Result
 

534名(平均年齢76±5歳,女性42%)が仰臥位と座位の評価を行い,ベースラインの平均血圧は130±19/68±11mmHg,62%が高血圧または高血圧の既往があった。
 
座位プロトコルで2.1%,立位プロトコルで15.0%,OHの検出があった
 
座位プロトコルのOHは転倒リスクと関連しなかった
仰臥位プロトコルのOHは転倒リスクと関連しなかった
仰臥位プロトコル収縮期血圧のOHは転倒リスクと関連した(HR 1.77;95%CI 1.02-3.05)
 
座位プロトコルのOHはあらゆる症状と関連がなかった(P>0.40)
仰臥位プロトコルのOHは自己申告の意識消失,ブラックアウトなどの症状と関連がなかった(P<0.03)
 
□Conclusion
 
仰臥位プロトコルの起立性低血圧のほうが頻度が高く、起立性症状と関連し、転倒の予測因子なる可能性が高い
 

□KeyPoint
 
・転倒リスクのある高齢者において仰臥位プロトコルと座位プロトコルの起立試験は互換性がない
・座位プロトコルより仰臥位プロトコルのほうが起立性低血圧の検出率が高く、より転倒と関連している
 
 
内容には納得、というかそもそも起立試験を座位プロトコルでやる、という発想がこれまでありませんでした。(立位保持が難しい人に仰臥位→座位、とすることはありましたが...)
 
次に思ったのが...これはもしかして...AIMのシステマティックレビュー(Ann Intern Med. 2021;174(1):58-68)ふくめ、文献を吟味するときは、仰臥位プロトコルか座位プロトコルか確認をしなくてはいけない...ということなのか!?

【Case サルコペニアによる急性尿閉の症例】

【Case サルコペニアによる急性尿閉の症例】
 
Two Cases of Acute Urinary Retention Associated With Acute Sarcopenia in Older Women
 

和足先生に教えていただいて前々から興味があったCureusに投稿し、症例報告のアクセプトをいただきました😊

 
練馬光が丘病院はOT/PT/STの方々が非常に熱心で病棟でめちゃめちゃ助かっているんですが、INBODYによるBIA法を用いた筋肉量評価も可能という素晴らしい環境です。
 
そんな中、どう考えても院内発症の尿閉の原因が、入院中の身体機能低下/サルコペニアしかなさそうな症例があり...INBODYで測定したところ重症サルコペニアの併存が確認できた2例の報告になります。
 
入院当初は排尿障害はなく、低栄養状態やリハビリがすすまない状況が続いたのちに尿閉を発症...ということでどう考えても院内発症の尿閉の原因が、入院中の身体機能低下/サルコペニアしかなさそうな症例でした。
INBODYで筋肉量を測定し、身体機能評価を行ったところ重症サルコペニアの併存が確認できたので、それが原因ではないかという報告です。
(入院時点では筋肉量の測定はしていない、という限界もあります)
 
あくまで、症例報告、なので因果や関連性の検証まではできないのですが、サルコペニアを確定された状態での尿閉の報告がなかった、というのもありCureusで無事アクセプトをいただきました。
 
一緒に病棟管理や尿閉の相談にのってくださったチームメンバーの方々、サルコペニアの評価を手伝っていただいたOT/PTの方々、本当にありがとうございました!!
 

【JC】アルコール離脱予防の病棟管理に関して(J Hosp Med. 2022 Jan;17(1):47-49.)

Clinical Guideline Highlights for the Hospitalist: 2020 American Society of Addiction
Medicine Clinical Practice Guideline on Alcohol Withdrawal Management

J Hosp Med. 2022 Jan;17(1):47-49.
 
ASAM/アメリカ依存症医学会によるアルコール離脱のガイドラインの内容を、JHMのほうで病棟管理における推奨をまとめて載せていた号があったので読んでみました
 
 
元のガイドラインはこちら
 
ダイジェスト版はこちら
 
どちらも頑張って一読はしました。。色々しっかり書いてあって良い内容だったんですが...結構重複が多いのも欠点でした。
 
病棟管理に関して学ぶだけであればまずはこれを読むが良い気がします
(個人的にはWernickeの初期治療は500mg×3回でよいのではとも思いました)
 
AWS:アルコール離脱症候群
AUD:アルコール使用障害
 
✓診断
 
・最近あるいは定期的にアルコールを使用しているすべての入院患者は、示唆的な症状の有無にかかわらず、AWSのリスク評価を受けるべきである
・AUDIT-PCはAWSのリスクのある患者を識別し,アルコール離脱重症度予測尺度/PAWSSは痙攣やアルコール離脱せん妄を含む重症またはComplicated AWSのリスクのある患者を識別する
・CIWA-ArはAWSの診断の患者の治療への反応をモニターするために開発されている。診断のためではない。
 
✓軽症〜中等症の治療
 
・痙攣およびアルコール離脱せん妄の発生率を減少させるという実績があるため、ベンゾジアゼピン(BZO)は引き続き第一選択薬として推奨される
・CIWA-ArによるSymptom-triggerのBZO投与はBZOの累積投与量の減少や入院期間短縮が示されておりFixed/固定量投与より推奨される。
・軽症のAWSの患者で重度の離脱のリスクが低い患者は最大36時間監視する
・CIWA-Arスコアが高い/重度、あるいは合併症が高い患者はAWS治療の初期に中~高用量の長時間作用型BZOを頻繁に投与し(Front Loading)、症状を速やかにコントロールし、悪化を防ぐことが推奨される。
・BZOが禁忌の場合、カルバマゼピンまたはガバペンチンが軽度または中等度のAWSに使用されることがある。しかし、痙攣および離脱せん妄の明確な減少が確立されていないため、どちらの薬剤も第一選択薬として推奨されない
・α2アゴニスト(例、クロニジン、デクスメデトミジン)は、BZO単独では十分に制御できない持続的な自律神経過敏または不安の治療に使用することができる
 
 
✓重症の治療
 
・重症のAWSは重度の症状や徴候,Complicated AWSは痙攣やせん妄をきたした症例。
・痙攣の患者には即効性のあるBZOを投与する(ジアゼパムのIVなど)
・離脱せん妄のある患者には、軽い鎮静が得られる量のベンゾジアゼピンを投与する(できればIVで)
・BZOの大量投与が必要となる可能性に備え、過鎮静と呼吸抑制について患者をモニタする必要がある。
抗精神病薬は、離脱せん妄または幻覚症状などの他の症状がBZO単独では十分にコントロールできない場合に補助的に使用することができるが、単独療法として使用すべきではない
・ASAMのガイドラインでは、α-2作動薬は離脱せん妄の治療に使用すべきではないと強調しているが、ICUにおける抵抗性アルコール離脱の補助薬として使用することは可能である
フェノバルビタールは、重度の離脱症状に対するBZOの代替薬として許容される。しかし、ASAMのガイドラインでは、経験豊富な臨床医はによって使用されるべき勧告している
 
✓ウェルニッケ脳症の治療
 
・ウェルニッケ脳症を予防するためにチアミンを投与すべきである。栄養不良の患者、重篤な/離脱症状のある患者、ICUレベルのケアを必要とする患者には非経口製剤の投与が推奨される。
・特にAWSのためにICUに入院したすべての患者には、WEの診断が困難な場合が多いので、チアミンを投与すべきである。
・WEの治療に必要なチアミンの投与量に関するコンセンサスはないが、1日100mgを3~5日間静脈内投与または筋肉内投与する
・有害性の証拠がないため、チアミンブドウ糖またはブドウ糖の前、後、または同時に投与されることがある。
・ASAMのガイドラインでは、WE患者のリスク層別化の方法について具体的な推奨はしていない。
 
✓アルコール使用障害の治療
 
AWSの入院は、薬物療法や外来患者との連携を含むAUDの治療に患者を巻き込む重要な機会である。
・本ガイドラインではAUDの治療は可能な限りAWSの管理と同時に開始されるべきであることを強調しているが、特定の薬物療法に関する推奨はしていない。
 

【JGFM掲載】尿管結石疑いの症例におけるCVA叩打痛の有用性

Evaluation of the usefulness of costovertebral angle tenderness in patients with suspected ureteral stone
https://doi.org/10.1002/jgf2.581
 
Pubmed収載はこれからですがJGFMのPreliminaryにアクセプトいただいた尿管結石疑い症例のCVAtdsの有用性に関しての論文が掲載になりました
 
急性腹症のガイドラインに記載があるけど、腎盂腎炎とかでは微妙な結果がでていて、尿管結石に関しても過去文献をみると微妙な感じ...ということで調べてみた研究になります
単施設後ろ向き研究、場所は救急外来になります
 
結果はLR+1.3と...まぁうん。。。という結果でした
先行文献でも実臨床の感覚通り、いろいろな疾患で偽陽性になりますし、そこまで感度も特異度も尤度比も高くないよね、というのも予想通りでした。
 

 

 
超音波やSTONEやCHOKAIとの組み合わせとかもやってみたかったんですが、設定や自分の実力的にそこまでまだできないのもあり断念しました。
 
ということで、尿管結石疑いの症例においてCVAtdsは単一では除外にも診断にも使えない、となりますが、身体所見の解釈はその臨床状況や他の症状や所見との組み合わせになるとはおもうので僕自身は尿管結石疑い症例でも腹痛でも腰痛でも取り続けることになるかなと思っています
 
 
樋口先生,PFに学会発表に執筆にとお疲れさまでした
御指導いただいた弘重先生ありがとうございました!!
 
そしてJGFMの神査読には感謝してもしきれないです。
教育的な査読とはこういうものである、と、見せつけられた気がしました。
勇気を持って投稿してよかったというのと、自分自身まだまだ精進せねばと実感した経験でした。

【JC】高フェリチン血症の鑑別は

高フェリチン血症,予想外の値がでた症例がありチームの症例で話題になったついでに調べてみました
 
まとめると
 
・高フェリチン血症の原因が鉄過剰症であることは少ない(10%未満)
・フェリチンは炎症やサイトカインストーム,腫瘍,肝障害,腎不全,飲酒やメタボリックシンドロームなどでも上昇しうる
・高フェリチン血症の原因が単一でなく複合的なこともある
・小児においてフェリチン>10,000μg/Lは、血球貪食の診断に高い特異性と感度を示す 。疾患によってある程度傾向はあるが,成人では腎障害,肝障害,感染症,血液悪性腫瘍などの様々な疾患がフェリチン値異常高値をきたすので1万以上でも特異的とはいえない
・腎不全,非HIV感染症,固形腫瘍の単独では2000を超えることはあまりない
・飲酒でもフェリチンは上昇しうるが1000を超えることはあまりない
 
 
ということで...フェリチンの解釈は臨床状況による、という結論に。。。
そうはいっても色々ヒントになることも少なくないので個人的には好きなマーカーです
 
日本の疫学データーや、肝障害で上昇する、NAFLDや飲酒でもあがる、というのも知らなかったのでこれはこれで学びになりました。
 
 
Hyperferritinemia: causes and significance in a general hospital
Hematology. 2018 Dec;23(10):817-822.
聖路加国際病院からの論文(日本の疫学!!)

フェリチンが500以上の1670人
276人が除外され1394人が解析対象
平均年齢は66.0歳,62.7%が男性
フェリチンの中央値は1024

1000以上は51%
3000以上は22%

感染症 44.8%
固形腫瘍 26.3%
肝障害 20.3%
腎不全 20.2%
血液腫瘍 12.0%
鉄過剰症 6.7%
リウマチ/炎症疾患 6.3%

・血清フェリチン値が高い群では低い群に比べ、HLHおよび血液学的悪性腫瘍の患者の割合が高くなっていた。
・59%の患者が高フェリチン血症の検出可能な原因を1つ持っており、統計的に有意ではなかったが、基礎疾患が多いほど血清フェリチン値が高くなる傾向が見られた
・41%の患者には複数の原因があり、そのフェリチン値は共存する原因の複合的な影響を反映していると思われることがわかった。
・各病因に関連する血清フェリチン値の範囲は広いが、腎不全、非HIV感染症、固形腫瘍の患者では、血清フェリチン上昇の程度は緩やかで2000を超えることはほとんどなかった。
・HLHやHIV感染症患者では,患者数が少ないにもかかわらず,血清フェリチン値が高い傾向があり,中には血清フェリチン値が数万μg/Lとなる著明な高フェリチン血症を示す患者もいた.
・リウマチ・炎症性疾患、血液悪性腫瘍、肝疾患の患者では、血清フェリチン値の幅が広く、中には著明な高フェリチン血症を示す患者もいた。
・血清フェリチン値の上昇が比較的緩やかな疾患でも、一部の患者では10,000を超える顕著な高フェリチン血症を引き起こす可能性がある
・併発する疾患がフェリチン値をさらに上昇させる可能性があること、また、「高フェリチン血症」は血清フェリチン値の上限がなく非常に広い範囲を占めることを考えると、
 

・非HIV感染症、肝機能障害、腎不全は、前述したように一般に単独では著しい高フェリチン血症を引き起こさないが、他の病因と組み合わさることにより、著しい高フェリチン血症をおこしうる
 
□Table 2 フェリチン>500 1394人の疫学

HIV感染症 44.8%
固形腫瘍 26.3%
肝障害 20.3%
腎不全 20.2%
血液悪性腫瘍 12.0%
鉄過剰症 6.7%
リウマチ/炎症性疾患 6.3%
HLH 1.4%
HIV感染 0.8%
溶血性貧血 0.2%
その他 10.8%

□Table 3 フェリチンが上がる疾患の数とフェリチンの中央値

疾患数1/904
疾患数2/1133
疾患数3/1460
疾患数4/2270

□Table 4 単一の原因でフェリチンが上昇している疾患とnと中央値とSD

HLH(2) 44901(54163)
リウマチ/炎症性疾患(29) 1142(14438)
血液悪性腫瘍(63) 1330(9308)
固形腫瘍(145) 1165(1707)
non-HIV感染(250) 872(1969)
肝障害(95) 1080(33202)
腎不全(88) 720(2109)
HIV感染(4) 2551(55355)
他(147) 828(166881)


□Table 5 フェリチン>10000 111人の疫学

non-HIV感染 47.3%
肝障害 35.5%
血液悪性腫瘍 30.9%
腎不全 23.6%
鉄過剰症 21.8%
固形腫瘍 20.9%
リウマチ/炎症性疾患 14.5%
HLH 13.6%
HIV感染 2.7%
溶血性貧血 1.8%
他 3.6%



Causes and significance of markedly elevated serum ferritin levels in an academic medical center
J Clin Rheumatol. 2013 Sep;19(6):324-8.

627人のフェリチン>1000の解析
年齢は18-91歳,57%が男性
悪性腫瘍 24% 鉄過剰症 22%
純粋な炎症性疾患は稀だった(4.3%,27例)
6例がHLH/MAS/AOSDによるものだった
5例は診断不明

50歳未満では鉄過剰症が最多(27.8%),肝障害性(18%)
50歳以上では悪性腫瘍(30.1%),鉄過剰症(17%),肝障害(16.5%)

フェリチンの中央値
炎症性症候群 4799(SD 6830)
鉄過剰症 3112(SD 3112)
肝障害 2477(4866)
重症感染 2408(3134)
悪性腫瘍 2849(3926)
CKD 1580(1046)
慢性疾患性の貧血 1248(155)

フェリチン>10000は18人
悪性腫瘍 6
鉄過剰症 4
炎症性 4(HLH/MAS)
感染症 2
肝障害 2

HLH/SJIA/MAS/AOSDの診断を受けた人は他の炎症性疾患よりフェリチンが高い傾向にあった
14242(SD 9379) vs 2101(SD 2064)


□Hyperferritinemia-A Clinical Overview
J Clin Med. 2021 May 7;10(9):2008. 
 
 
・炎症がない状態であればフェリチンは鉄欠乏症の診断に非常に特異的で感度の高いパラメータ
・高フェリチン血症は、急性期反応時,サイトカインによる刺激,肝疾患における肝細胞障害でもみられる
 
・高フェリチンで鉄過剰症は10%未満と言われている
・その他の原因は炎症,サイトカインによる刺激,メタボリックシンドローム,慢性アルコール摂取,肝細胞障害,悪性腫瘍など。複合的なこともある。
・小児においてフェリチン>10,000μg/Lは、HLHの診断に高い特異性と感度を示す 。しかし、慢性腎臓病、感染症、血液学的悪性腫瘍などの様々な疾患がフェリチン値>50,000μg/Lを示すことがあるため、成人患者集団では当てはまらない。
 
 
・転移性悪性腫瘍においてフェリチン>1,000μg/Lはよく見られる
・アルコール性肝疾患や非アルコール性脂肪性肝疾患 (NAFLD) を含む急性および慢性肝障害の際に、フェリチンは >10,000 μg/L に達することがある
・飲酒のみでも<1000μg/Lのフェリチン上昇はよくみられる
・鉄過剰症を伴わない高フェリチン血症のまれな遺伝的原因に遺伝性高フェリチン血症白内障症候群(HHCS)とゴーシェ病がある。
 
□疫学
 
・白人男性の約20%は、年齢に関係なくフェリチン値が300μg/Lを超えている
・女性では、月経や妊娠のためにフェリチンの年齢分布が顕著である。30~50歳の女性では、200μg/Lを超えるのは3%だが、70歳を超えると17%にも達する。
・フェリチンの上昇は、アジア系やアフリカ系アメリカ人の健康な個体でしばしば見られるが、鉄過剰症やC282Yホモ接合の存在は、これらのグループではまれである。
 
・日本で行われたフェリチン>500μg/Lの外来および入院患者を対象とした研究では、被験者の41%がこの増加の原因となる複数の基礎疾患を有していることが示された。さらに、フェリチン値が10,000μg/Lを超える患者の70%が複数の病因を有していた。基礎疾患が多い患者ほど、フェリチンレベルは高かった。この増加は統計的に有意ではなかったが、他の研究でも同様の関連が報告されており 、フェリチンの上昇は特定の病因に依存するだけでなく、併存する基礎疾患の数にも徐々に関連していることが示唆される。
 
 


□WorkUP

 
・いくつかガイドラインがあるが推奨事項が合致していない
・高フェリチン血症の診断ワークアップにおいて臨床医をよりよく支援するために、我々は、根本的な原因の特定とさらなる管理のためのアルゴリズムを提案する
・ほとんどの場合,非侵襲的な診断ワークアップにより原因が特定される。初診時に予想外に高いフェリチンを示す患者は,併存する疾患が手がかりとなりうるため,臨床医がさまざまな疾患におけるフェリチン上昇の特徴について知っておくことは有益である。先に述べたように,鉄の指標異常を評価する際には,遺伝的,環境的要因,年齢,性別も考慮する必要がある
・溶接ヒュームの長期暴露は、最近、溶接工のサブグループにおける全身性鉄過剰症の新規原因として示唆されており,職業性既往歴が関連する可能性がある。
 
・高フェリチン血症の家族歴も,遺伝的原因を示している可能性があるため,注目される。患者の既知のヘモクロマトーシスの第一度近親者がいる場合、HFE遺伝子検査に直接進むことを考慮すべきである。
 
・フェリチンの測定を一定期間繰り返すことは、しばしば合理的である。トランスフェリン飽和度が正常な健康な患者において、フェリチン<1000μg/Lの中等度かつ孤立した値に遭遇した場合、適切であればライフスタイルを調整し、2~3ヵ月後に測定を繰り返す観察期間が、診断ワークアップにおいて有用であることを証明するかもしれない
 
・アルコールによる高フェリチン血症、肝脂肪症、脂肪肝炎、急性期反応などは、通常、フェリチン値が変動するが、ヘモクロマトーシスや遺伝性高フェリチン血症白内障症候群のような高フェリチン血症を特徴とする遺伝子疾患では、比較的安定したフェリチン値を示すことがある。

・フェリチンが10,000μg/L以上と著しく高い場合は、成人発症のスチル病やHLHなどの稀な疾患を考慮する必要があるが、腎臓疾患、肝臓疾患、感染、悪性腫瘍など、よりありふれた疾患でも見られることがある。
 
・トランスフェリン飽和度が正常である場合、調査の初期段階において、二次的な原因が注目される。貧血の有無,炎症反応の有無,肝障害の有無,腎機能などの情報が有用。
 
・フェリチンが1000μg/L以上で安定しており、かつ/または肝機能検査に異常がある患者は、トランスフェリン飽和度にかかわらず、肝線維化のリスク上昇と関連するため精査が必要である
・フェリチンの緩やかで進行性の経時的な増加は、継続的な鉄過剰症を示し、通常、トランスフェリン飽和度の上昇で確認することができる。
・急性感染症,月経,最近の献血は,鉄過剰症が存在する状況でもトランスフェリン飽和度を一時的に正常レベルまで低下させる可能性があることにも注意すべきである
 

★Table 2 抜粋
 
フェリチン 50000以上のData
(Blood. 2015;125:1548–1552.)
 
患者数 113人
2つ以上の疫学同定率 86.7%
非特異的感染症 46%
血液悪性腫瘍 32%
固形悪性腫瘍 4%
リウマチ/炎症性疾患 18%
肝障害 54%
腎不全 65%
鉄過剰症 12%
HLH 20%
血液学的異常 4%
他の原因 2%
不明 0%
 
フェリチン 10000以上のData
(J Clin Pathol. 2013;66:438–440.Hematology. 2018;23:817–822. Am J Clin Pathol. 2016;145:646–650. Ann Hematol. 2017;96:1667–1672.)
 
非特異的感染症 4.3-47.3%
HIV感染症 2.7-8.7%
血液悪性腫瘍 8.7-30.9%
固形悪性腫瘍 2.5-20.9%
リウマチ/炎症性疾患 1.8-14.5%
肝障害 15.1-35.5%
腎不全 9.4-23.6%
鉄過剰症 5.3-35.0%
HLH 0-16.7%
血液学的異常 1-8.7%
 

□Table3 : 肝臓への鉄負荷を考慮するべき臨床例
・トランスフェリン飽和度が50%以上であるが、明らかな原因がない。
・フェリチン>1000μg/Lで、トランスフェリン飽和度が正常で、明らかな説明がつかない
・フェリチン>1000μg/Lで肝疾患の危険因子(例:アルコール、ウイルス性肝炎、肥満)がある場合
・フェリチン>1000μg/Lおよび/または肝トランスアミナーゼの上昇を伴うC282Yホモ接合体
・高フェリチン血症で輸血歴が複数回ある場合
・高フェリチン血症とフェリチン上昇に関連する複数の病態が確認された場合
・フェリチンが長期にわたって上昇し、その原因がコントロールされているにもかかわらず、フェリチンが上昇する場合

★アルゴ抜粋

✓まずTSATで鉄過剰どうか判断
✓TSATのカットオフは男性 45%,女性 40%

✓鉄過剰であれば貧血の有無を確認
→貧血があれば治療による鉄過剰を考慮
→貧血がなければ遺伝検査を考慮

✓鉄過剰がなければ肝障害をチェック
→肝障害があれば肝障害のWorkUP(ウィルス性肝炎含む)へ
→肝障害がなければ炎症(CRP/ESR)の評価へ
→炎症があればその精査
→炎症がなければメタボリックシンドロームのチェック
→場合によっては肝臓のMRIで評価をする



【JC】ニフェジピンはせん妄のリスク!?(JAMA. 2017;318(12):1161-1174)

JAMAのせん妄のレビュー(JAMA. 2017 Sep 26;318(12):1161-1174)を読んで驚いたことの1つに、ジヒドロピリジン系、が避けるべき薬剤のListにさりげなく記載があるのに、気付き少し、調べてみました

 
全然知らんかった。。。というか、マジですか!?と思って、TableのRefの2つの文献をみても探し方がだめなのか...検索機能をつかっても、ざっとみても見当たらず...
 
J Am Geriatr Soc. 2015;63(1):142-150.
J Am Coll Surg. 2015;220(2):136-148.
 
 
狐につつまれたような感じでPubmedで調べてみると少ないながらも文献はHIT
 

Nonpharmacologic and Medication Minimization Strategies for the Prevention and Treatment of ICU Delirium: A Narrative Review
J Intensive Care Med. 2019 Mar;34(3):183-190.
 
Many common medication classes can cause or exacerbate delirium in ICU patients. The top 5 categories of medications include sedative–hypnotics, opioids, dihydropyridines, anticholinergics, and antihistamines.(Age Ageing. 2011;40(1):23-29.)
 
という記載
 
Which medications to avoid in people at risk of delirium: a systematic review
Age Ageing. 2011 Jan;40(1):23-9.
 
オピオイド OR 2.5(95%CI 1.2-5.2)
ベンゾジアゼピン OR 3.0(95%CI 1.3-6.8)
ジヒドロピリジン OR 2.4(95%CI 1.0-5.8)
ヒスタミン OR 1.8(95%CI 0.7-4.5)
 
でせん妄のリスクだよという記載
 
Age Ageing. 2011 Jan;40(1):23-9
ここのジヒドロピリジン系に関するRefは1つのみで
 
Incidence of and preoperative predictors for delirium after cardiac surgery
J Psychosom Res. 1999 May;46(5):479-83.
 
でした。
 
これをみるとニフェジピンが多変量解析の結果心臓血管外科の術後せん妄のリスク OR 2.4(95%CI 1.0-5.8)という記載でした
 
なぜニフェジピンを多変量解析の因子に?、と思ってみたところ、 Univariate screening 、で組み込まれたような感じでした
 
ということで糸はつながりました。。。
研究が行われたのは1999年ですし、 Univariate screening に関しての言及はここでは割愛させていただきます。
 
もともと臓器保護作用に乏しい降圧剤のCCBはあまり好きではないのですが...
 
明日からのPracticeをどうするか、は悩みものです