ある病院総合診療医の備忘録

関東在住の総合診療医・老年病専門医です。日々の学びの書き留め用に。 Twitterもはじめました。 @GHhrdtk

バリウム虫垂炎の疫学をしらべたLetterがアクセプトされました

A Short Report on Single-Center Survey in Diagnosing of Barium Acute Appendicitis

 

 
バリウム虫垂炎疫学調査、J Epider のLetterにアクセプトいただきました!!
 
背景としては以下の点があります
 
・2019年時点で男性では胃がんががん関連死の第2位、女性では第4位の死因
・2014年以来、胃がんのスクリーニング検査として上部消化管内がスクリーニングにくわわったが、2016年時点では、日本で上部内視鏡よりもバリウム検査が約10倍頻繁に実施され、胃がんのスクリーニングにおいて主要な役割を果たし続けている
・しかし、バリウム検査は1年内の急性虫垂炎のリスクが1.5倍増加し、スクリーニング後の最初の2か月では特に10倍高いリスクと関連している
・日本の都心部の病院で急性バリウム虫垂炎は症例の3%で発生すると報告され、全ての症例においてCT値 3000HU 以上の高吸収域がみられたという報告がある(World J Gastrointest Surg. 2016;8:651–655.)。そして年齢は5-86歳という幅の結果でした。
 
ということで...
 
・(同じ都市部になりますが)他の施設での検証
バリウムの理由
 
を後ろ向きに検証ということで単施設後ろ向き観察研究を行いました
 
結果的には...
 
虫垂炎全体の3%がバリウム虫垂炎だった
バリウム虫垂炎のうち約1/3が40歳未満
(つまり40歳未満にもかかわらず人間ドッグなどの自費で検査をしていた)
 
という興味深い結果でした。
御忙しい中、御指導いただいた和足先生ありがとうございました!!
 
バリウムの合併症で虫垂炎、というのはあまり知られていないのと、手術になった症例も加味するとバリウムのOvertestingによる医原性なのは?と懸念に思える報告でした。