久しぶりの更新です
タイムマネジメンに変わらず苦慮していますが、臨床は面白く日々楽しんでいます。
今年度もよろしくお願いいたします
老年病の専門医ってどうなんですか?と聞かれることがあります
老年病メインというよりは急性期病院メインの総合診療医であって、老年病専門医を資格の1つとして所持をしているという立場での見解ですが以下になります。
・資格がないと勉強できない領域ではないので必須ではない。
・老年医学の必要性は明らかで、一個の臓器に特化するよりその汎用性は名実である。
・いろいろな視点と知識がつき、勉強になり臨床の面白さも増えるので、高齢者医療に興味があるならおすすめ。
と思っています。
The Paradoxical Decline of Geriatric Medicine as a Profession
JAMA. 2023 Aug 22;330(8):693-694
https://pubmed.ncbi.nlm.nih. gov/37540519/
・老年医学は一つの医学的状態を超えた要素、多慢性疾患、 ポリファーマシー、機能、 認知などを含む要素に魅力を感じる医師にとって魅力的な分野で高 齢の複雑な患者のためのチームケアと、 家族の介護者のニーズに特に重点を置いている領域
・35年前に専門分野となった
・老年医は2000年の1万人から2022年には7- 8千人に減少している。更新を選択しない医師や、 初期の医師が退職したこと、プログラムの失敗などが原因。
・老年のフェローシップは専門分野の中でもマッチ率が低い
・支援の枠組みは減少しており、 教育の認定機関からもあまり評価されていない
・財政的なアドバンテージはなく、 保険会社や医療提供機関からはあまり求められていない
・老年医の報酬もあまり高くなく、 内科医やHospitalistより低い。しかし、 報酬の低さは小児科も同じ状況なので報酬だけが原因ではない。 高齢者に対する社会の評価やレジデントの評価も関連している。(正気の沙汰ではないみたいな自虐も...)
・老年医学の衰退の方向性を変更することは困難でしょう
といような内容でした。。。
まぁ確かに、日本でもシステム的に、外来で頑張ってCGAをする より、 検査を適度にいれ3分診療を繰り返してなにかあればすぐ紹介状、 のほうが...という悲しい現状もあります。 入院設定では特に股関節骨折などで老年医評価はエビデンスもあり ますが、 そもそも日本の診療報酬システムは質の評価をする仕組みになって いないので、システム側/ 経営者側は在院日数以外で評価はされないことが多いでしょう。
その一方で、ヨーロッパではいろいろな取り組みが始まっているという前向きなEditorialもでています。
European and worldwide geriatric medicine is blooming
Eur Geriatr Med. 2023 Dec;14(6):1187-1189.
JAMAのView Pointでもいわれているように高齢者をよりよくみる診療の必要性は言うまでもないですし、一個の臓器に特化するよりその汎用性は言うまでもないと思います。なので、個人的には学びたい人は学べば良いと思っています。
実際に老年病専門医を取得し、関連項目を学んで、 いろいろな視野は広がりましたし、 今自分がいる設定における診療のClinical QuestionはほとんどがHospitalist関連かGe riatric関連になるので自分自身としては取得したことは大 きな学びになったと思っています。
ということで、自施設では老年病プログラムはまだ未実装ですし、 しがない1専門医にすぎない身分ですが、老年医学を勉強したい/ 興味ある人、というのはつねに歓迎ですし、 興味がある人はいつでもお声がけください。