ある病院総合診療医の備忘録+α

関東在住の総合診療医・老年病専門医です。日々の学びの書き留め用に。 Twitterもはじめました。 @GHhrdtk

【JC 流し読み】中断やマルチタスクが「処方」という行為に与える影響 BMJ Qual Saf. 2018 Aug;27(8):655-663.

「処方」というタスクで影響がでているのであれば、極めて複雑な診断というプロセスや複数疾患の同時並行のマネージメントに対する影響は...いわずもがなですよね(このへんは測定や評価が難しいのですが...)

 

そうはいっても何かで確認のコールがなることには理由もメリットも当然あるわけで...なかなか難しい問題だとは思います

Task errors by emergency physicians are associated with interruptions, multitasking, fatigue and working memory capacity: a prospective, direct observation study
BMJ Qual Saf. 2018 Aug;27(8):655-663.

背景:中断やマルチタスクは個人のパフォーマンスを低下させることが実験研究では証明されている。負荷が強く動的な臨床現場における効果はほとんど研究されていない。
目的:
救急医による中断やマルチタスクが処方ミスに及ぼす影響を評価する
方法:36人の救急医を120時間追跡し,全てのタスク,中断,マルチタスクが記録された。医師のワーキングメモリの容量やマルチタスクの嗜好性も評価され,過去24時間の睡眠に関しても聴取した。処方ミスをタスクパフォーマンスの指標として使った。処方エラー率に関して,医師の年齢,心理測定尺度,業務量,睡眠,中断,マルチタスクで多変量解析を行った。
結果:医師は1時間あたり7.9回の中断があった。28人の医師が239回の処方を行い,208回の処方エラーがあった。
処方の作業中,1時間あたり9.4回の中断があった。中断(RR 2.82)とマルチタスク(RR 1.86)は有意に処方エラーと関連していた。睡眠時間が平均以下だと処方エラーは15倍以上に増加した(RR 16.44)。ワーキングメモリ容量は処方エラーに保護的に作用した(OSPANが10point上昇で処方ミスが19%減少した)。年齢,心理測定尺度,業務量はエラーに影響しなかった。
結論:中断,マルチタスク,睡眠不足は救急医の中で有意に処方ミスの増加と関連していた。ワーキングメモリ容量は処方エラーに保護的に作用した。これらの結果は、他の分野での実験的知見を裏付けるものであり、臨床現場におけるマルチタスクや中断の高頻度に疑問を投げかけるものである。