ある病院総合診療医の備忘録

関東在住の総合診療医・老年病専門医です。日々の学びの書き留め用に。 Twitterもはじめました。 @GHhrdtk

JC:ジャーナル流し読み

JC:ジャーナル流し読み

1.長期の骨粗鬆症治療
2.高齢者に対する抗うつ薬の副作用
3.5a-レダクターゼ阻害剤 vs DM
 
の3つを流し読み
骨粗鬆症に対するBP長期投与のDataは興味深かったです


Fink HA, MacDonald R, Forte ML, et al. Long-Term Drug Therapy and Drug Discontinuations and Holidays for Osteoporosis Fracture Prevention: A Systematic Review. Ann Intern Med. 2019
Ann Intern Med. 2019 Apr 23. doi: 10.7326/M19-0533

長期の骨粗鬆症の治療に関するシステマティックレビュー
50才以上の男性か閉経後女性が対象の研究
48研究(13研究が観察研究)
骨粗鬆症の女性において4年のアレンドロネートの治療により骨折が減少した(HR 0.64),4年のラロキシフェンは椎体骨折は減ったが非椎体骨折は減らなかった
骨減少症ないし骨粗鬆症の男性において6年のゾレドロン酸の治療は非椎体骨折もふくめ臨床的骨折を減少した(HR 0.70)
長期のBP製剤は2つの稀な害,非典型的な大腿骨骨折と顎骨壊死のリスクを増やした
骨粗鬆症の状態が不明な女性に対して5-7年のホルモン療法により股関節骨折ふくむ臨床的骨折が減少したが有害事象も増えた
BP製剤を3-5年以上継続して椎体骨折は減少したが非椎体骨折は減少しなかった


Maw AM, Hassanin A, Ho PM, et al. Diagnostic Accuracy of Point-of-Care Lung Ultrasonography and Chest Radiography in Adults With Symptoms Suggestive of Acute Decompensated Heart Failure: A Systematic Review and Meta-analysis. JAMA Netw Open. 2019 Mar 1;2(3):e190703.

急性非代償性心不全の肺水腫に対するポイントオブケアの肺エコー(LUS) vs レントゲンのメタアナリシス
LUSは感度88%特異度90%
レントゲンは感度73%特異度90%
肺エコーのほうがレントゲンより優秀という結論


Sobieraj DM, Baker WL, Martinez BK, et al. Adverse Effects of Pharmacologic Treatments of Major Depression in Older Adults AHRQ Comparative Effectiveness Reviews. 2019 Mar. No. 215;1-162. (Systematic review)

高齢者に対する抗うつ薬の有害事象のレビュー
41の研究のうち19の研究がRCT,2つが観察研究
RCTのほとんどは低用量の抗うつ薬

SSRIの一部(エスシタロプラム,フルオキセチン),ブプロピオン(NDRI),ボルチオキセチンはプラセボと同等
SSRIの一部(シタロプラム,エスシロプタム,フルオキセチン)がNNH 11,SNRIはNNH17で有害事象により中止になった
デュロキセチンはNNH10で転倒
1つの観察研究だが抗うつ薬のしようは転倒,骨折,死亡のリスク増加があった
SSRIはTCAより有害事象による中止が少なかった
ボルチオキセチンはデュロキセチンより有害事象が少なかった(NNT 6)


Wei L, Lai EC, Kao-Yang YH, et al. Incidence of type 2 diabetes mellitus in men receiving steroid 5alpha-reductase inhibitors: population based cohort study. BMJ. 2019 Apr 10;365:l1204.
5a-レダクターゼ阻害剤のデュタステリドはHR 1.32,フィナステリド HR 1.26でタムスロシンと比較して2型糖尿病発症のリスクが増加していた
2型糖尿病のリスクがある人に投与する場合は追加のモニタリングが必要になるかもしれない