ある病院総合診療医の備忘録

関東在住の総合診療医・老年病専門医です。日々の学びの書き留め用に。 Twitterもはじめました。 @GHhrdtk

【JC】家庭環境を対象とした介入を行った転倒予防のRCT

事件は現場で起きている!?ということで作業療法士による家庭環境を対象とした介入を行った転倒予防のRCT

結果はNegative studyと残念な結果。転倒予防研究はPopulationの選定とアドヒアランスや介入の遵守率がネックな気がしています。Positive studyが出ないのがもどかしいですね。。

 

Home environmental assessments and modification delivered by occupational therapists to reduce falls in people aged 65 years and over: the OTIS RCT.
Health Technol Assess. 2021 Jul;25(46):1-118.

作業療法士による家庭内危険度評価と環境修正は...転倒の減少につながらなかった、という研究

多施設無作為前向き介入研究(性質上盲検化は不可)
1331人が通常ケア901人介入群430人
すべての参加者は転倒予防のためのリーフレットを受け取った
それに加えて介入群は作業療法士による家庭環境評価と管理のための推奨をした
主要転機は無作為化から12mの転倒回数
副次転機は転倒が生じた割合,転倒までの時間,転倒の恐怖,骨折率,QoL,費用対効果

介入群では通常のケアに比べて転倒率が増加する傾向にあった(aRR 1.17 P=0.07)
副次転機はどの項目にも有意差はなかった
介入はおおむね意図されたとおりに行われたが,推奨事項が守られた程度には差があった。

結論としては転倒リスクがあると判断された65歳以上に対する作業療法士による家庭での評価と修正が転倒を減少させるというエビデンスはなく,費用対効果も低いと判断された