ある病院総合診療医の備忘録

関東在住の総合診療医・老年病専門医です。日々の学びの書き留め用に。 Twitterもはじめました。 @GHhrdtk

【JC】難聴の存在は身体機能低下と関連(JAMA Netw Open. 2021 Jun 1;4(6):e2113742)

鳥と卵、どっちがどっちはともかく...難聴→認知症、だけでなく難聴と身体機能低下速度、難聴と身体機能低下の存在、は関連があるという報告。

このへんは今後出るであろう前向き介入研究に期待、というところでしょうか。

進行中の難聴介入の前向き研究も結果が待ち遠しいところです。

 

Association of Age-Related Hearing Impairment With Physical Functioning Among Community-Dwelling Older Adults in the US
JAMA Netw Open. 2021 Jun 1;4(6):e2113742

目的:聴覚障害が身体機能の低下と関連するか評価
デザイン:4施設で2011-2019年のデーターを使用した横断研究+縦断的解析研究
暴露:聴覚を10dB毎に評価し,聴覚障害を正常,軽度,中等度,重度に分類した
主な結果:身体機能はSPPBを使用し6点以下+どれかの要素が2点以下を該当とした。歩行持久力は2分間の歩行で評価した。
結果:2956人(79±4.6)。33%が聴力正常,40%は軽度の障害,23%は中等度の障害,4%は重度の障害。
重度の聴覚障害は正常な聴覚に比べて,SPPBスコアの平均値の低下(-0.82)と関連

調整したロジスティック回帰モデルでは聴覚障害は低身体機能と関連していた(正常 vs 重症)(SPPB OR 2.51 バランス OR 2.58 歩行速度 OR 2.11)。時間の経過に伴い,聴覚障害者は健常者と比較してSPPBの低下が早かった。歩行持久力に関しては中等度以上の聴覚障害者の人は有意に低かった(中等度 -2.81m,重度 -5.31m)
結論:聴覚障害は身体機能の低下と低下速度に関連していた。聴覚障害への介入で身体機能低下が防げるかまでは不明。