ある病院総合診療医の備忘録

関東在住の総合診療医・老年病専門医です。日々の学びの書き留め用に。 Twitterもはじめました。 @GHhrdtk

【JC】難聴や難聴+視力障害は認知機能低下リスク(J Am Geriatr Soc. 2021 Mar;69(3):644-650.)

難聴や難聴+視力障害は認知機能低下リスクという論文です。難聴自体が認知機能低下リスクですが、視力障害もくわわると上乗せされるかも?という話でした。(なお、視力障害単体では有意差なし)

 

Longitudinal Association Between Hearing Loss, Vision Loss, Dual Sensory Loss, and Cognitive Decline
J Am Geriatr Soc. 2021 Mar;69(3):644-650.

背景/目的:
認知機能低下の修正可能なリスクとしての感覚障害の役割をより理解するために単一の聴覚ないし視覚障害と二重の感覚障害に関連した認知機能低下を検討した
デザイン:縦断的な二次データー解析
参加者:73歳以上 295人
測定:
聴覚障害は0.5と4kHzの音が25Db以上聞こえない状態と定義した
視力障害は補正付き両眼で20/40(日本だと0.5)未満と定義した
二重感覚障害は視力障害+聴力障害と定義した
結果:
難聴は120/271,視力障害は115/292,52人が二重障害
難聴がある高齢者は加齢に伴う認知機能低下が有意に早かった(β=-0.16、P<0.05)
視力障害がある高齢者は加齢に伴う認知機能低下に有意差はなかった(β=-0.06、P=0.41)
二重感覚障害の高齢者は加齢に伴う認知機能低下が有意に早かった(β=-0.23、P<0.05)
結論: 難聴と二重の感覚障害を持つ高齢者は正常な感覚機能を持つ高齢者に比べて認知機能の低下速度が速い。