抗精神病薬やコリンエステラーゼ阻害薬は転倒リスクか?(BMJ. 2021 Sep 9;374:n1925)
今回は投薬前と投薬後をビッグデータを使って比較するという研究。実は治療前の状態が一番リスクが高いという結果で,Benefit/Harmバランスを考える上での試金石になるような研究で興味深い内容でした!!
Use of antipsychotic drugs and cholinesterase inhibitors and risk of falls and fractures: self-controlled case series
BMJ. 2021 Sep 9;374:n1925
抗精神病薬やコリンエステラーゼ阻害薬は転倒や骨折のリスクとして報告があるが,
メタアナではそのリスクに有意差はないという報告もでている(J Am Geriatr Soc. 2011 Jun;59(6):1019-31.J Neurol 2019;266:2363-75.)
この結果のミスマッチの原因は患者要因や適応による交絡によるものと考えられている。そのため投薬前と投薬後を比較するというコンセプトで台湾の国民健康保険データベースを使用した観察研究
2006年から2017年の間に65歳以上で新規に抗精神病薬かコリンエステラーゼ阻害薬を処方され転倒か骨折を経験した患者が対象としてコリンエステラーゼ阻害薬のみ,抗精神病薬のみ,コリンエステラーゼ阻害薬と抗精神病薬の併用で比較した
骨折ないし転倒の発生率は
非治療期間は 8.30/100人年
治療前期間は52.35/100人年
AcheE単独+抗精神病薬 10.55/100人年
抗精神病薬単独 10.34/100人年
AchE阻害単独 9.41/100人年
非治療期間と比較すると治療前期間が最も骨折リスクが高い(aRR 6.17)
AchE+抗精神病薬はaRR 1.35,抗精神病薬単独 aRR 1.33,AchE阻害単独 aRR 1.17
ということで