ある病院総合診療医の備忘録

関東在住の総合診療医・老年病専門医です。日々の学びの書き留め用に。 Twitterもはじめました。 @GHhrdtk

【JC】白内障の手術適応の紹介は迅速に(Anesth Analg. 2021 Dec 1;133(6):1431-1436)

2022年ということでUpToDateの「What's new in geriatrics」より抜粋①

高齢者医療としては
白内障への介入は股関節骨折や転倒介入に関して一定のエビデンスがありCGAでの評価対象の1つ
白内障の手術ができない全身状態、というのは極めて稀
・手術適応の白内障を四ヶ月以上放置すると合併症につながるので、手術適応の白内障があれば紹介を遅らせてはいけないという内容でした。



Preoperative Care for Cataract Surgery: The Society for Ambulatory Anesthesia Position Statement
Anesth Analg. 2021 Dec 1;133(6):1431-1436

文献自体は白内障手術に関しての内容です。

JAMA. 2012 Aug 1;308(5):493-501
白内障術後1年以内の股関節骨折が減少した(aOR 0.84)

Cochrane Database Syst Rev. 2009 Apr 15;(2):CD007146
→初回の白内障手術は転倒率を減少させた(RaR 0.66)

視力の低下は転倒や股関節骨折だけでなく,医療機関受診,医療資源使用,認知障害,死亡率増加などQoLに影響を与える。

白内障手術の適応がある患者で4ヶ月以上待つことは合併症の増加と関連する(Can J Ophthalmol. 2007;42:543–551.)

白内障
・仰臥位になれるのであれば基本的に手術は可能
・術前検査は不要
・周術期を通じて日常的に使用している薬はすべて継続可能
・高血圧で延期する必要はない(例外:臓器障害をきたしている高血圧緊急症)
高血糖で延期する必要はない(例外:DKA,HHS,著しい低血糖)
・抗凝固薬や抗血小板薬を中断する必要はない
・心房細動を新規発症しても症状がなく血行動態が安定していればOK
・ASA-PS 4でも手術は可能

ということなので手術適応の白内障の紹介を遅らせてはいけない、という内容でした