ある病院総合診療医の備忘録

関東在住の総合診療医・老年病専門医です。日々の学びの書き留め用に。 Twitterもはじめました。 @GHhrdtk

【JC】DOAC内服でループスアンチコアグラントが偽陽性

DOAC内服でループスアンチコアグラント(LAC:lupus anticoagulant)が偽陽性になるようです。いままで知りませんでした。。。すみません。。。

(というか,これって結構わからん殺しの予感がっ!!?)

 

そもそも症状はどうなのか、陽性はLACのみで他は大丈夫なのか(LACのみ陽性なのかTriple positiveなのか...etc)でまた話は変わるとは思いますが一つの知識ということで。

Detection of lupus anticoagulant in the era of direct oral anticoagulants
Autoimmun Rev. 2017 Feb;16(2):173-178.

(ほんのちょっとだけ抜粋)
(LACの測定/検査方法,陽性基準に関してはここでは割愛させていただきます)

ヘパリンはワーファリンなどの薬剤がLACの検査結果に影響を与えることはよく知られている
→ヘパリンやVitK拮抗薬投与中の患者でLACを評価する場合は注意するようにいわれている
→低分子ヘパリンは中止して12時間後,VitK拮抗薬は中止して2週間後ないしPT-INR 1.5未満で検査を行うこと
(J Thromb Haemost 2009;7:1737–40.)

 

DOACなどの近年でた抗凝固薬は?


・直接トロンビン阻害薬やDOACでもLACは偽陽性になる
・特にダビガトラン,リバロキサバン,エドキサバンは影響が大きい
・アピキサバンはLAC偽陽性になりにくい
(リバロキサバン投与後,18-24時間たっていれば偽陽性が回避できるかもしれないという報告もあり)

現状,抗凝固薬内服中にLAC検査をするのは偽陽性があるので推奨されないという内容で勉強になりました

「救急診療の好手・悪手」で「NOMIやSMA閉塞」を執筆させていただきました

楽しみにしていたMedicinaの救急診療の好手・悪手ようやく読破しました!!
自分の好きな本の1つの「ERエラーブック」とにたようなイメージで,様々なトピックでコンパクトにpitfallとおすすめの一手がまとまっていて読みやすかったです。


https://www.amazon.co.jp/dp/B08YD5SDBR/

自分は「NOMIやSMA閉塞」を担当させていただきました
ややエッジの効いた内容だったのですが,しっかり監修していただき実践的な内容になっているのではとおもっています
このような書籍に関わる機会をいただき坂本先生本当にありがとうございました

「症候診断ドリル」で「黄疸」を執筆させていただきました

楽しみにしていた本「症候診断ドリル」こちらもようやく読破しました!!

読みやすい+基本がしっかり抑えられているのと,ところどころ深掘りされているので勉強がある程度おわったなと思っていた症候の復習にもなりました
(勘違いしていただけという説も)

https://www.amazon.co.jp/dp/4758116601

なお,自分は「黄疸」を担当させていただきました
黄疸の鑑別ってだいたい検査やら画像やら...の議論になるのですが,その手前の臨床的にも大事な疫学やフィジカルにこだわった内容にしてみました
(そうはいいつつもCruveilhier-Baumgarten murmurとか知る人ぞ知る...みたいなフィジカルも盛り込んでます)

他の先生の執筆部分もすごく勉強になり,このような機会をいただき鋪野先生本当にありがとうございました

PET-CTの集積がきっかけで診断できたPANのケースをMedicine(Baltimore)に掲載

局所症状に乏しいSingle organ vasculitisできたPANをPET-CTの集積をきっかけに診断できたというケースレポートをMedicine(Baltimore)に掲載いただきました

18F-Fluorodeoxyglucose positron emission tomography computed tomography detection of single organ vasculitis of the breast: A case report
Medicine (Baltimore). 2021 Mar 26;100(12):e25259
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/33761723/

中血管炎に対してもPET-CTが有用な可能性があることや,病歴や身体所見にも一定の限界があること...など色々学びになる症例でした。思い入れのある症例でもあったので形にできて感無量...といったところです。

方向性に色々迷っている中御助言いただいた共著のみなさま本当にありがとうございました。
 

キノロンからのVA解離のケースレポートをInternal medicineに掲載していただきました

キノロン→血管障害→大動脈解離や大動脈瘤のリスクが上昇する

のであればキノロン→椎骨動脈解離も生じるのでは?
という視点でのキノロン投与数日後に発症したVA解離のケースレポートをInternal medicineにアクセプトしていただきました

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/33746163/

Vertebral Artery Dissection after Exposure to Levofloxacin: A Report of Two Cases
Intern Med. 2021 Mar 22. doi: 10.2169/internalmedicine.6736-20. Online ahead of print.


御指導いただいた原田侑典先生,志水太郎先生にありがとうございました!!

サポーティブで親切な指導にただ感謝ですm(_ _)m
 

【JC 流し読み】高齢者の薬剤に関してのupdate@2019

Medication Use Quality and Safety in Older Adults: 2019 Update
J Am Geriatr Soc. 2021 Jan 12. doi: 10.1111/jgs.17018.

①Older Medicare Beneficiaries Frequently Continue Medications with Limited Benefit Following Hospice Admission
J Gen Intern Med. 2019 Oct;34(10):2029-2037

メディケア受給者においてホスピス入院後でもメリットが乏しい薬剤(LBMs:limited benefit medications)が投与継続となっていた。(担癌 29.8% 非癌 30.5%)
認知症薬(29.3%)が多く,骨粗鬆症薬(14.1%)が少ない
ほかは降圧剤 26%程度,スタチン 17%程度,PPI 24%程度

②Prescribing of oral anticoagulants in the emergency department and subsequent long-term use by older adults with atrial fibrillation
CMAJ. 2019 Dec 9;191(49):E1345-E1354.

ERで心房細動の診断がつき帰宅となった人が対象
ERで抗凝固薬を開始したほうが半年後の抗凝固薬の処方を受けている割合が有意に高かった(67.8% vs 37.2%,NNT 3)

③Improving patient safety and efficiency of medication reconciliation through the development and adoption of a computer-assisted tool with automated electronic integration of population-based community drug data: the RightRx project
J Am Med Inform Assoc. 2018 May 1;25(5):482-495.

e-medication reconciliation アプリ RightRxを導入することにより投薬照合完了率が改善した

④Clinical outcomes after intensifying antihypertensive medication regimens among older adults at hospital discharge.
JAMA Intern Med. 2019 Aug 19;179(11):1528-1536.


非心臓疾患で入院した高齢者において,退院時に降圧を強化することは1年以内の心血管イベントや血圧コントロールの改善とか関連がなく,30d以内の再入院や有害事象が増えた



 
強化抗高血圧薬を処方することは、1 年以内の心イベントの減少や BP コントロールの改善とは関連していなかったが、30 日以内の再入院や重篤な有害事象のリスクの増加と関連していた。

【JC 流し読み】高齢者の薬剤に関してのupdate@2018

Medication Use Quality and Safety in Older Adults: 2018 Update
J Am Geriatr Soc. 2019 Dec; 67(12): 2458–2462.

①Effect of a Pharmacist-Led Educational Intervention on Inappropriate Medication Prescriptions in Older Adults: The D-PRESCRIBE Randomized Clinical Trial
JAMA. 2018 Nov 13;320(18):1889-1898.

地域居住の高齢者における不適切な薬物投与の中止について、薬剤師主導の教育的介入は半年後に不適切な薬剤の処方を有意に減らした(43% vs 12%)

②Anticholinergic drugs and risk of dementia: case-control study
BMJ. 2018 Apr 25;361:k1315

ACBスコア3の抗コリン薬の処方は認知症のリスクであった(OR 1.11)
スコア3の薬を多く処方された人は認知症のリスクがたかかった
最高容量だとスコア2の抗コリン薬で認知症発症 OR 1.57,スコア3はOR 1.31
抗うつ薬,泌尿器科薬,抗パーキンソン薬への曝露が多いほど認知症リスクが増加した

③Antihypertensive Medication Regimen Intensity and Incident Dementia in an Older Population
J Am Med Dir Assoc. 2018 Jul;19(7):577-583.

高齢者における降圧薬の使用の積極的な使用は、認知症の発症率の低下と関連している可能性がある

④Effect of Aspirin on Disability-free Survival in the Healthy Elderly
N Engl J Med. 2018 Oct 18;379(16):1499-1508.

健康な高齢者に対するアスピリンの使用は5年間の障害がない生存期間の延長はなく,プラセボと比較して大出血の発生率が多かった(HR 1.38)