ある病院総合診療医の備忘録

関東在住の総合診療医・老年病専門医です。日々の学びの書き留め用に。 Twitterもはじめました。 @GHhrdtk

JC 流し読み

【JC 流し読み】

(下書き保存したまま塩漬けにしていたのもあり...やや古めの論文ですすみません)

今回のJCは

トランサミンの副作用で血栓の心配は無用

・在宅への運動プログラムは転倒予防に有用

・ヨーロッパのサルコペニア基準に関して

などなどです。トランサミンの局所薬(吸入とか鼻とか)の研究が出てきており、外傷に対する止血薬としてのエビデンスはどんどん広がってほしいですね、

 

Effect of a Home-Based Exercise Program on Subsequent Falls Among Community-Dwelling High-Risk Older Adults After a Fall: A Randomized Clinical Trial.
JAMA. 2019 Jun 4;321(21):2092-2100.
在宅運動プログラムで有意に転倒が減少した(発生比率は0.64)

Design:一重盲検無作為化試験,12ヶ月
P:転倒を経験後に転倒予防クリニックに紹介となった人
E:老年科医師による通常の診療 + PTによる在宅運動プログラム
C:老年科医師による通常の診療
O:自己申告による12ヶ月の転倒の数
Result:転倒の数は介入群で1.4,通常群で2.1。介入に関連した有害事象の報告はなかった。
Conclusion:在宅での強度とバランスの訓練運動プログラムはその後の転倒率を有意に現象させる

Risk of venous and arterial thrombosis in non-surgical patients receiving systemic tranexamic acid: A systematic review and meta-analysis.
Thromb Res. 2019 Jul;179:81-86.
トラネキサム酸で動脈血栓や静脈血栓はふえることはない

過去の研究で非手術による出血の予防や治療のためにトラネキサム酸が投与されRCTで出血性事象や血栓症の報告がある研究を検索。
22の研究で49538人
全死亡リスクは有意に低い(RR 0.92)
脳卒中,心筋梗塞の動脈血栓は有意差なし
肺塞栓,DVTの静脈血栓は有意差なし
バイアスリスクが低い研究にしても同じ結果だった


Consequences of applying the new EWGSOP2 guideline instead of the former EWGSOP guideline for sarcopenia case finding in older patients
EWGSOP1 vs EWGSOP2

ヨーロッパのサルコペニアの基準がEWGSOP1からEWGSOP2に変更したら,有病率が27.7% vs 18.1%と全然違ったし中身も結構不一致があったという研究

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