ある病院総合診療医の備忘録

関東在住の総合診療医・老年病専門医です。日々の学びの書き留め用に。 Twitterもはじめました。 @GHhrdtk

【JC 流し読み】退院→長期療養施設,トラジション時の有害事象

Adverse Events in Long-term Care Residents Transitioning From Hospital Back to Nursing Home
JAMA Intern Med. 2019 Jul 22;179(9):1254-1261.

重要性:退院して介護施設へ移行するタイミングは有害事象のリスクが高い。有害事象には適切なケアが提供できなかったために生じるものもある
目的:退院後に長期療養施設に移行する人の有害事象の発生率,種類,重症度,予防可能かどうかを判断する
デザイン:退院して長期療養施設にもdった人を対象とした前向きコホート研究,45日追跡調査。555人,762の退院
主な転機と測定:MainOutcomeは病院から介護施設への移行後45日以内の有害事象。介護施設の記録を看護師がレビューし2人の医師がどれぞれの有害事象を独立してレビューした。見解に相違があった場合は会合を開いた。
結果:555人のうち365人(65.6%)が女性,平均年齢は82.2才。762の退院のうち,379で有害事象があった。
192/379(52.0%):住んでいる場所でのケアに関連したもの(褥瘡,皮膚裂創,転倒による障害)
108/379(28.5%):感染症
64/379(16.9%):薬剤有害事象

198/379(52.2%)は軽症
145/379(38.3%)は重症
28/379(7.4%)は致死的
8/379(2.1%)は死亡

267/379(70.4%)が予防ないし改善可能
軽症のほうが予防可能なことが多かった(73.7% vs 66.9%)
特に転倒による怪我,皮膚断裂,褥瘡など入居者の介護に関連した有害事象は予防可能な可能性が高かった(87.8% vs 60.9%/薬剤性,45.4%/感染症)

結論:退院後に施設に戻った人の有害事象は10人中4人近くで発生し,そのほとんどが予防可能であった

 

4割で発生し,その予防可能が7割というDataはかなり大事な話ではと思いました。FRIDの認知と多面的介入がもっと広がれば良いなと思います。