ある病院総合診療医の備忘録

関東在住の総合診療医・老年病専門医です。日々の学びの書き留め用に。 Twitterもはじめました。 @GHhrdtk

JC:VitD±Ca補充と骨折との関連

論文によっても結果が異なったり議論になったりするVitD補充と骨折の関連。システマティックレビューとメタアナリシスの論文(JAMA Netw Open. 2019 Dec 2;2(12):e1917789)になります

結果としては


VitD補充→骨折低下しない
VitD+Ca補充→骨折低下する(骨折全般6%,股関節骨折14%)

という結果でした。

個人的には「観察研究の結果で25(OH)Dの濃度は10.0pg/ml毎の増加は骨折の低下(RR 0.93),股関節骨折の低下(RR 0.80)と関連していた」というのは日々のプラクティスにも有用な情報かなと思いました。

Vitamin D and Calcium for the Prevention of Fracture: A Systematic Review and Meta-analysis.
JAMA Netw Open. 2019 Dec 2;2(12):e1917789

重要性:骨折の予防にはビタミンDとカルシウムのサプリメントが推奨されていまるが、以前のRCTでは矛盾する結果が報告されており、補充の最適な用量や有効性ははっきりしない
目的:観察研究における25(OH)Dの濃度の違いに伴う骨折のリスクとRCTにおけるVitD単独ないしCaの併用による骨折のリスクを評価する
データソース:2018年12月31日までPubMed,EMBASE,Cochrane Library,およびその他のRCTデータベースを検索した
研究選択:観察研究は少なくとも200例の骨折,RCTは500例の参加者,10例の偶発骨折が含まれているもの。RCTはVItDないしVitD+Caをコントロールと比較した
データ抽出と合成:2人の研究者がPRISMAガイドラインとバイアスを評価した。RRは固定効果を使用して推定された。データの抽出と合成は、2018年7月から2019年6月の間に行われました。
主な結果と測定:全ての骨折と股関節骨折
結果:
11の観察研究のメタ解析(39141人,6278骨折,2367股関節骨折)の結果,25(OH)Dの濃度は10.0pg/ml毎の増加は骨折の低下(RR 0.93),股関節骨折の低下(RR 0.80)と関連していた。
11のRCTのメタ解析(34243人,2843骨折,740股関節骨折)でVitDのみの補充(毎日 or 間欠投与 400-30000 IU,25(OH)Dの濃度の中央値は8.4)では骨折,股関節骨折のリスク低下はなかった。しかし,間欠投与の頻度が少ないこと,VitDの1日の投与量がすくないこと,参加者の数が少ないなどの制約がある。対照的に6つのRCT(49282人,5449骨折,730股関節骨折)のVitD補充(1日400-800IU,25(OH)Dの中央値は9.2)とCa補充(1000-1200mg/d)は6%の骨折低下(RR 0.94),16%の股関節骨折(RR 0.84)を減少させた
結論と関連性:このシステマティックレビューとメタ解析では、標準用量のVitD単独での間欠的または毎日の投与は骨折のリスクの低下と関連していなかったが,VitDとCaの両方の毎日の補給はより有用な戦略でした。