ある病院総合診療医の備忘録

関東在住の総合診療医・老年病専門医です。日々の学びの書き留め用に。 Twitterもはじめました。 @GHhrdtk

【JC】予後半年以内の施設入所者におけるスタチン内服の割合

予後が限られている状態でも長期介護施設入所者の1/3以上がスタチンを服用したままという研究

 

Prevalent Statin Use in Long‐Stay Nursing Home Residents with Life‐Limiting Illness
J Am Geriatr Soc. 2020 Apr;68(4):708-716

目的:長期介護施設入所者で予後が半年以内の高齢者におけるスタチン療法の有病率と関連因子を評価する。LDLを50%以上さげる投薬を高強度と定めた。
デザイン:横断的研究
参加者:424212人
結果:34%がスタチンを処方されていた(65-75才,44%,高強度11.1%,75才以上 31.1%,高強度 5.4%)。スタチンの処方率は疾患によって異なっていた。スタチン使用に関連する因子は少数派の民族や人種,5種類以上のポリファ,動脈硬化ないし心血管リスク
結論:予後が限られている状態でも長期介護施設入所者の1/3以上がスタチンを服用したままである。近年のガイドラインではスタチンの適応は拡大されているが終末期に近い高齢者での治療継続による有用性は疑問視されている。介護施設でのスタチン処方を減らす努力が必要