ある病院総合診療医の備忘録+α

関東在住の総合診療医・老年病専門医です。日々の学びの書き留め用に。 Twitterもはじめました。 @GHhrdtk

【JC】血腫の吸収熱、illness scriptは?

血腫の吸収熱、頻度は少ないながらも鑑別にあがり、その判断は困難な事も少なくないような印象です

 

腎生検後に生じた血腫の吸収熱に関しての研究があるので今回の記事で紹介させていただこうと思います


Absorption fever characteristics due to percutaneous renal biopsy-related hematoma
Medicine (Baltimore). 2016 Sep;95(37):e4754.

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/27631225/

 

腎生検後の患者さんの後ろ向き研究です

結果のみを抜粋すると


・腎周囲血腫を発症した118例中57例で発熱があった
・9例は感染症だった(肺炎 3例,血腫の二次感染6例)
・48例は血腫の吸収熱だった(腎周囲血腫の40.7%を占める)
・発症は腎生検後 4.51±1.63d(1-7d) day6がピーク
・持続期間は4.09±2.47d(1-10d)
・BTは38.26±0.39(37.5-39.0)

・血腫が大きい(3cm以上)症例は小さい症例と比較して吸収熱のリスクが5.23倍高かった

・血腫の大きさは体温や発熱の持続時間に関連していなかった

・Fig2の発熱パターンの曲線があり,初日に最も熱が高く,日がたつにつれて徐々に下がる,日内変動は1℃以内であった



 

●まとめ(腎生検後におきた吸収熱に関して)

 
 
・118例中48例で吸収熱,6例で血腫の二次感染があった
・発熱の発症は腎生検後 4.5±1.6d(1-7d),特にday6が多い
 
・発熱の持続期間は4.1±2.5d(1-10d),1週間未満がほとんど
・BTは38.3±0.4(37.5-39.0),日内変動は1℃以内
・発熱初日にピーク(39℃未満)をきたし徐々に下がる
・39℃以上の発熱,持続が1週間以上,体温の変動が大きい場合は二次感染や他の感染を考慮する