ある病院総合診療医の備忘録

関東在住の総合診療医・老年病専門医です。日々の学びの書き留め用に。 Twitterもはじめました。 @GHhrdtk

【JC 流し読み】フレイル+独居やフレイル+社会的孤立は死亡リスク上昇

Frailty Combined with Loneliness or Social Isolation: An Elevated Risk for Mortality in Later Life
J Am Geriatr Soc 68:2587-2593, 2020.



背景:フレイル,孤独,社会的孤立は全て有害的に関連しているが,その組み合わせに関しては知られていない
デザイン:前向きコホート研究
設定:アムステルダムでの縦断的調査
参加者:65才以上の高齢者1427人
測定:フレイルはフレイルのPhenotype(Fried criteria).孤独はDe Jong Gierveld Loneliness Scale.社会的孤立はパートナーの状態,社会的支援やネットワークなどで判断した。フレイル,姑息,社会的孤立に関してそれぞれ2つのカテゴリー変数を作成した。死亡率は1995年-2017年にわかってモニターした。生存曲線とCOX比例ハザードモデルを用いてフレイルや孤立の組み合わせが死亡率に及ぼす影響を調査した。うつ,慢性疾患,喫煙,社会人口統計要因で調整した。
結果:フレイルは13%,フレイル+孤独が5.9%,フレイル+社会的孤立が6.2%だった。調整後でもフレイルのみの高齢者は死亡リスクが高かった(HR 1.40-1.48)。しかし,フレイル+孤独ではHR 1.83,フレイル+社会的孤立ではHR 1.77とさらに死亡リスクが上昇した。表現型ではなく累積アプローチによるフレイルの評価スケールをつかっても同様の結果が得られた。

結論:
フレイルがある高齢者は死亡リスクが高いが,孤独や社会的孤立が加わるとさらにリスクが上昇する。身体的にフレイルがある高齢者の幸福や健康の転記を改善するには主観的および客観的,両方の社会的脆弱性に焦点を当てた介入が必要。
 
 

独居であること,社会的孤立であること,本人の意向やそれまでの歴史...などなど個々の要素が強い因子ですがやはり医療的にはNegativeな方向に働くことは少なくない印象があります(だからといって独居=NGとかそういう議論ではないです)。

 

個人的にはIntroを読むだけでも勉強になりました!!