ある病院総合診療医の備忘録+α

関東在住の総合診療医・老年病専門医です。日々の学びの書き留め用に。 Twitterもはじめました。 @GHhrdtk

【JC】蜂窩織炎の診断困難さのレビュー(Br J Dermatol. 2019 May;180(5):993-1000)

著者がPC医という点でも痺れる蜂窩織炎の診断の難しさを扱ったScoping reviewです(Br J Dermatol. 2019 May;180(5):993-1000)


□個人的なまとめ
・薬剤や化粧品使用歴の聴取は大事
・「抗菌薬不応性」「両側性」の蜂窩織炎は診断見直そう(というか違う)
・症状が強い場合は壊死性軟部組織感染を常に鑑別に
蜂窩織炎の所見はミミッカーでも出うる所見(つまり診断/鑑別は難しい)


The red leg dilemma: a scoping review of the challenges of diagnosing lower-limb cellulitis
Br J Dermatol. 2019 May;180(5):993-1000

背景より抜粋

・救急で蜂窩織炎の診断がついた31%の症例は誤診で85%が回避可能な入院をし,92%が不要な抗菌薬投与をうけている(JAMA Dermatol. 2017 Feb 1;153(2):141-146)
・患者さんと医療従事者の双方から特定された蜂窩織炎に関する研究の重要な優先事項は「診断」であった(Br J Dermatol. 2017 Aug;177(2):541-543.)
蜂窩織炎の診断に対する課題や解決に関してのレビューはみつからなかったのでScoping reviewを行った

□結果(ここでは「Clinical cases of misdiagnosis」のみ抜粋)

・3つの観察研究と63のケースレポートとケースシリーズが該当

□観察研究3つ
・1件の前向き研究では下肢蜂窩織炎で紹介された635人の患者のうち210人が他の疾患の診断になった(多いのは湿疹118人,リンパ浮腫14人,脂肪皮膚硬化症9人(Br J Dermatol 2011; 164: 1326-8.)
・15歳以下の子どもを対象とした別の前向き研究では骨髄炎患者50人のうち19人が最初は蜂窩織炎と誤診されていた(S Afr Med J 2007;97(6):456-60)
・ある後ろ向き観察研究では、臨床的に深部静脈血栓症がまず疑われる43人の患者のうち9人が蜂窩織炎と診断されていた(Angiologia  2006;58(2):137-43)

□ケースレポートとケースシリーズ
・94人が対象(男性43人,平均41歳)
蜂窩織炎の診断名がつくまえに47種類の診断名がくだされた
・分類上では血管系が最も多く,ほかに壊死性筋膜炎,サルコイドーシス,リンパ腫,化学療法関連が多かった
蜂窩織炎の典型的な症状は紅班,疼痛,腫脹,発熱と熱感
・誤診が判明した患者の症状の頻度は79% 皮膚の紅斑,78% 疼痛,55% 腫脹,24% 発熱,20% 皮膚の熱感
・78%が片側性,16%が両側性
・11%でのちに悪性腫瘍と判明

★Box1:症例報告からのLearning point

1.抗菌薬が不応性の場合はさらに抗菌薬を使用するまえに早急に臨床的な再評価が必要
2.改善しない非特異的症状や臨床所見と経過が比例しない場合はより重篤な病態に注意する
3.感染症の中核症状:紅斑,疼痛,腫脹,発熱,熱感は蜂窩織炎だけでなく他の疾患でもみられる
4.複数の肢が障害されている場合は蜂窩織炎の可能性は低い
5.蜂窩織炎は緊急評価が必要な病態の二次的な反応であることもある。全ての鑑別診断を検討する必要がある
6.詳細な病歴や保存的に管理できる薬剤や化粧品による反応を見分けるのに役立つ