https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/34938563/
https://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1002/ccr3.5211
Fitz-Hugh-Curtis syndrome without salpingitis: Should contrast-enhanced computed tomography be a routine diagnostic procedure?
Clin Case Rep. 2021 Dec 13;9(12):e05211.
若年のFitz-hugh-curtis症候群をみたときに造影CTを撮像すべきか?
というテーマでClinical Case Reportにアクセプトいただいた症例が公開されました
御指導いただいた志水先生ありがとうございました😊
若年に対する腹部CTの被爆リスクはそれなりにある
ちょっとAtypicalだけどFHCS以外にはしっくりくる疾患がない
造影CTで所見がでなくても経験的治療するよね
そもそもFHCSにルーチンで造影CT必要なんてどこにも書いてないし...
という症例で結果的に腹部造影CTを撮像せずに治療しましたという症例です
■被爆関連のリスク
被爆関連死亡(AJR Am J Roentgenol.2001 Feb;176(2):289-96.)
15歳の腹部CT:約0.07%
25歳の腹部CT:約0.05-6%
(35歳を超えるとリスクはぐっとさがる?)
■Multi-Phaseの腹部骨盤CTでおきる将来の癌のリスク
(Arch Intern Med.2009;169(22):2078-86)
20歳男性:1/330 20歳女性:1/250
40歳男性:1/498 40歳女性:1/460
60歳男性:1/660 60歳女性:1/700
※そもそも適切な診断がされないことにもリスクはあるので,除外すべき疾患を除外することを第一に!!
※CTの機械の進歩で線量がさがっているので,過去の報告ほどリスクは高くない可能性にも留意する
■FHCSとは(Emerg Med Clin North Am. 2003 Aug;21(3):631-48.)
・FHCSはPIDの合併症だが...腹痛,子宮頸管炎などPID症状が同時に存在しないこともある
・FHCSは上腹部痛があり,他に原因がなく,淋菌やクラミジアの培養陽性で(画像検査は不要で)臨床的に診断できる
ということで
成功感染症のリスクがある若年女性で右側臥位や深呼吸で増悪する右上腹部をみたら下腹部症状の有無に関わらずFitz-hugh-curtisを疑いましょう
FHCSの検査前確率次第ですが,造影CTはルーチンでは不要かもしれません
という報告になりました
その前に似たような症例でめちゃめちゃ悩んだ経験があって、ある程度ロジックを詰めた上での判断だったんですが...まぁそれでも悩みましたし,志水先生の後押しなかったらまた別の方向になっていたかもしれません。
ほかにFHCSに関連する臨床情報としては...
■FHCSっぽさの検証(Am J Emerg Med. 2021 Jul 29;50:183-186)
1,胸膜性胸痛
2.肝前縁部の圧痛
3.右側臥位での増悪
4.ESRが30以上
■FHCSを見逃した症例の解析(Pediatr Emerg Care. 2019;35(7):e121‐123)
1.性的活動が否定された
2.胸膜痛で他の鑑別にいってしまった
3.脾臓周囲に画像所見があった(左上腹部痛)
4.骨盤部の所見をとっていなかった
などがあります。
臨床面白!!