ある病院総合診療医の備忘録

関東在住の総合診療医・老年病専門医です。日々の学びの書き留め用に。 Twitterもはじめました。 @GHhrdtk

【JC】RLSの治療でCaチャネルのα2δリガンド薬(プレガバリン,ガバペンチン)が第一選択で推奨(Mayo Clin Proc. 2021;96(7):1921-1937)

UpToDateの「What's new in geriatrics」より抜粋④

ここ数年での知見を踏まえたRLSの新しい推奨(Mayo Clin Proc. 2021;96(7):1921-1937)

 

薬剤使用に伴う問題からドパミン受容体作用薬よりプレガバリン,ガバペンチンの推奨があがっています

①週2日以上のRLSに対する第一選択はCaチャネルのα2δリガンド薬(プレガバリン,ガバペンチン)。処方後は鎮静,混迷,失調,体重,うつに注意
②肥満,中等度以上うつ,歩行障害,呼吸不全,物質乱用の既往などあればドパミン受容体作用薬を使う。長期使用による症状悪化す,強化現象や衝動制御障害に注意。
③難治性RLSに低用量オピオイドを考慮

 
◯2013-2021年の知見を踏まえたupdate(Mayo Clin Proc. 2021;96(7):1921-1937)

レストレスレッグス症候群(RLS)は四肢の不快感と足を動かしたい衝動が特徴的
症状は安静で増悪,体動で改善,夕方〜夜に増悪する
周期性四肢運動と呼ばれる睡眠中の不随意でリズミカルな短時間の脚の収縮を伴うことが多い

中等度以上の症状が週2回以上のRLSは1.5-2.7%
RLSは睡眠障害や不眠の原因となり,QoL低下,うつ,自殺に関連する可能性がある
50%は家族性,後天的な要素として鉄欠乏,妊娠,慢性腎不全に関連する

□マネージメント概要

・RLSのすべての患者において
→鉄の状態(フェリチンが75ng/ml未満,状態によってはTSAT20%で代用)を評価し適切な経口または静脈内鉄療法を検討する必要がある。経口であれば2-3ヶ月,IVであれば6週間以内に改善。フェリチンは3-4ヶ月後,その後は3-6ヶ月毎,フェリチンが100超えるまでフォローする。
→増悪因子をチェック(睡眠不足,未治療の睡眠障害,抗うつ/D受容体拮抗/抗ヒスタミンなど特定の薬剤)
→非薬物療法の指導(注意をそらす訓練,適度な運動,カフェイン控える,ぬるま湯につける,足のマッサージをする)
・頻度が週2回未満場合の間欠性RLSにはカルビドパ/レボドパ徐放製剤を頓服使用する。リバウンドや長期使用による症状悪化する強化現象に注意する。
・中等度以上のRLSが週2日以上ある慢性のRLSに対する第一選択はCaチャネルのα2δリガンド薬(プレガバリン,ガバペンチン)。処方後は鎮静,混迷,失調,体重,うつに注意
・肥満,中等度以上うつ,歩行障害,呼吸不全,物質乱用の既往などあれば第二選択のドパミン受容体作用薬を使う。長期使用による症状悪化する強化現象や衝動制御障害に注意。
・難治性RLSであれば鉄動態を再評価したり,薬剤併用したり,低用量オピオイド単剤治療を考慮する

 

f:id:GeneralistCWTG:20211228025852p:plain

f:id:GeneralistCWTG:20211228025901p:plain